15年3月期の店頭FX市場規模は前期比13.5%増の1兆3,176億円 預り証拠金残高、口座数、取引高いずれも増加基調

2015年11月21日 19:48

 店頭FX市場は、1998年8月に初めてFXが商品化されてから17年目を迎えた。その間、相次ぐ規制による法整備が進む中で FX 業界の各社は、コンプライアンス(法令遵守)を重視しながら、顧客サービスの充実を図り、透明性と信頼性の確保に努めてきた。その効果もあり、預り証拠金残高、口座数、取引高は順調に拡大し業界の成長が続いている。

 さらなる信頼性の向上を図るべく財務基盤の強化、収益の安定性に取組んでいるが、2015年1月に突如発生した、いわゆる“スイスフラン・ショック”によって、これまで実施してきたリスク管理のさらなる厳格化も再認識されるようになった。

 これを受け、矢野経済研究所は、国内 FX(外国為替証拠金取引)市場の調査を実施した。調査期間は2015年 8月~10月、調査対象は商品先物会社、FX専業会社、証券会社、ネット銀行など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、ならびに電話・e-mail などによるヒアリングを併用した。

 それによると、昨年同様、新規顧客の獲得数も一部の企業では伸びてはいるが、多くの企業では前年並みか減少しており、明暗が分かれつつある状況である。こうした状況下において、コスト削減や投資通貨の分散化に注力することで、一部の企業では収益の安定化が図られてきているとしている。

 店頭FX市場全体では、預り証拠金残高、口座数、取引高のいずれも増加基調にあるという。市場規模(預り証拠金残高)については堅調に拡大し、2015年 3月期は前年同期比13.5%増の1兆3,176億円となった。

 2015年3月期の口座数も増加傾向にあり、前年同期比で10.9%増の531万口座となった。顧客利便性の向上に加え、取引の透明性と企業の健全性・信頼性の向上に注力した結果、新たな個人投資家の獲得が進み、口座数は増加した。
 
 店頭取引の年間取引高は、前年同期比で0.4%増と微増の4,218兆6,796億円と推計した。2014 年度下半期間際から続く円安基調を背景に、取引高が大幅に増加した。

 2016年3月期はセミナーの積極的な開催による投資未経験者層の開拓や、首都圏のみならず、地方都市における顧客拡大、また取引の透明性と企業の健全性・信頼度の向上を目的とした更なる投資環境の整備に取組む企業姿勢などから、市場規模(預り証拠金残高)は、前年同期比 14.6%増の1兆5,098 億円、口座数は、前年同期比10.2%増の585万口座を予測した。

 また、年間取引高は昨年実績、および 2015年4~6月期の有力企業における累計取引高の増加傾向を加味し、前年同期比13.0%増の4,766兆円と予測した。(編集担当:慶尾六郎)