日本企業の99%以上は、中小企業が占めている。円安やアベノミクス効果で潤う大企業と、中小企業の格差が開いている、と指摘されることもあるが、中小企業間での格差も大きい。資産形成コンサルティングなどを展開するボルテックスが今年8月、全国の中小企業の経営者(役員含む)400人(男性373人、女性27人)を対象に調査した結果、昨年と比較した売上げ状況は「明暗」が分かれた。昨年対比プラスは27%、昨年対比マイナスは26%で、売上を伸ばした企業と減らした企業がそれぞれ、同率だったのだ。「変わらない」は47%だった。
中小企業の財源を支える方法として、本業以外の収益構造を持つことが推奨されることはよくある。実際はどのくらいの企業が「本業以外の収入源」を持っているのか。同調査では、全体の27.3%の経営者が「本業以外の収入源を持っている」と回答。これを「売上げ状況」の昨年対比(増減)で比較したところ、売上が増加している会社は32.4%が、売上げが減少している会社は19.2%が「本業以外の収益源を持っている」と回答した。その差は13.2ポイントと大きく、調査したボルテックスは「中小企業の明暗」について、「本業以外の収益源の有無が大きく影響しているようだ」と分析している。
「本業以外の収益源を持っている」と答えた経営者に対し、その内容を複数回答で答えてもらったところ、最多は「株式の売買・保有(54.1%)」で過半数を占め、次いで「不動産投資(30.3%)」「保険(30.3%)」「投資信託(29.4%)」がランクイン。「FX・外国為替(18.3%)」や「公社債(15.6%)」は低かった。株式投資で利益を上げた中小企業が、アベノミクス効果で利益を伸ばしたのかもしれない。
一方、経営における「自社の課題」を聞いたところ、全体の61.8%が「売上げの(利益)拡大」と答えた。続いて「人材の育成(33.3%)」「コストの削減(32.3%)」「労働力の確保(27.5%)」「後継者の育成(24.3%)」「資金繰り(21.3%)」「設備の老朽化(17%)」などとなっている。「特に課題はない」との回答も20.3%あった。(編集担当:北条かや)