DeNA、横浜スタジアムの運営会社を買収へ

2015年11月24日 08:09

 球団の黒字化を目指し、インターネットサービス大手の株式会社DeNA<2432>は20日、傘下のプロ野球「横浜DeNAベイスターズ」が、球団本拠地「横浜スタジアム」の運営会社の普通株式を公開買い付け(TOB)により取得するとの発表を行った。1株あたりの価格は1500円で、買収額は最大で約98億円で、球団と一体運営することで、黒字化をはかる。

 買い付け期間は24日から2016年1月20日で、現在、「横浜DeNAベイスターズ」が保有している「横浜スタジアム」の運営会社の株式40万株(5.75%)に加えて、308万0001株(保有割合 44.25%)を下限として設定し、新たに買い付けを行う。過半数を取得できない場合には、買い付けを中止するとのこと。「横浜スタジアム」の運営会社の株式は「横浜DeNAベイスターズ」以外にも、横浜市、民放テレビ局3社が5.75%保有しており、そのほか個人の株主が約60%、その他の企業が約10%保有している。今回の株式公開買い付けについて「横浜DeNAベイスターズ」は、現状ではこれ以上の経営改善はできないとし、株式公開買い付けにより一体経営を行うことで、相乗効果が期待できるとしている。

 今季の「横浜DeNAベイスターズ」のホームゲームの観客動員数は181万人で、DeNAが球団を買収する直前の11年と比較して約1.7倍に増加した。しかし、今年度は4年連続の赤字営業になる見通しで、さらに最低水準にある選手年棒も上昇傾向にある。こうした状況を改善するのに、入場料収入のみでは難しく、球場の買収により球場側に支払っていたチケット収入の13%と広告収入、さらには球場内の飲食や球団グッズの売り上げを取り込むことが不可欠と判断した模様。さらにコンサートなどのイベントを開催すれば、賃貸収入を取り込むことができる。

 ただし、株式公開買い付けが順調に行われるかは、まだまだ不透明な状態だ。「横浜スタジアム」の運営会社の株式約60%は個人株主が保有しており、横浜市もまだ態度を明らかにはしていない。「横浜DeNAベイスターズ」は株式の公開買い付けについて、個人株主の声を聞いてみないとわからないとしつつも、横浜市に根付いた球団経営をするという意思を伝えることで、賛同を得ていきたいとしている。(編集担当:滝川幸平)