【今週の振り返り】2万円のチャンスを逃して逃して4円上昇の週

2015年11月28日 20:31

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26、27日に3ヵ月ぶりに2万円を回復するチャンスは4回もあったのに、一度もタッチできずじまい。まるで何度も何度もすれ違う、メロドラマ。

 アメリカの経済指標はまちまち。7~9月期GDP改定値は年率換算+2.1%で速報値から上方修正された。個人消費は依然好調で、設備投資は上方修正。在庫もマイナス寄与度が縮小した。7~9月の企業収益は-1.1%。消費者信頼感指数も-8.7ポイントで2ヵ月連続の大幅低下。S&Pケース・シラー住宅価格指数は+0.6%で市場予測よりも良かった。ティファニーの8~10月期決算は2%の減収で、EPS(1株当たり利益)は市場予測を下回った。原油先物は8日ぶりに上昇して一時43ドル台。「有事の金買い」で金先物は3日ぶりに大幅上昇。「有事の円買い」で円高が進行し、朝方の為替レートはドル円は122円台半ば、ユーロ円は130円台前半。CME先物清算値は19895円だった。

 エジプト、チュニジアで悲惨な爆弾テロ。テロも軍事紛争も、それに巻き込まれて非業の死を遂げる人も絶えない哀しい惑星、地球よさらば。24日夕方、種子島宇宙センターからカナダの通信放送衛星を乗せたH2Aロケットが打ち上げられ、衛星の軌道投入に成功した。国産ロケットによる民間商用静止衛星の打ち上げは初めてで、日本の宇宙ビジネス進出の第一歩。10月の企業向けサービス価格指数は+0.5%。しかし日経平均は68円安の19856円で始まり、TOPIXは1600を割ってのスタート。序盤は軟調で下げ幅を拡大していく。前日まで5連騰し、11月の星取が12勝3敗の大勝ちでは、さすがに利益確定売りが多くなる。午前9時26分には19803円まで下落した。一服しても10時台には再び安値更新で10時21分に19800円を割り込み19790円まで下落する。富士山で言えば、2万円の山頂の鳥居のすぐそばまで登りつめながら、邪魔者に阻まれて砂走りを転げ落ちる〃修行〃の繰り返し。東京市場は、根性を試されている。上海市場はマイナスで始まった直後にプラスにタッチ。日経平均も19830円付近まで戻すが、その後は前日比100円安付近で膠着してしまう。TPP対策や「一億総活躍」にからむ政策は報道が先走っているが、マーケットは政府の正式発表を待つ。上海市場がプラスに浮上しても状況は11時台も変わらず、薄商い。前引けは102円安の19822円で、前場の値幅は68円しかなかった。

 上海市場の午前の取引は小幅のプラスで終わったが、日経平均は後場、19800円を割ってこの日の安値圏で再開する。要因は朝から為替の円高がジリジリ進み、止まる気配がないため。為替も株価も泣く子と地政学的リスクには勝てない。金融庁が自己資本規制の締め付けを強化すると報じられた銀行セクターが安い。しかし、為替の風向きが円高方向から円安方向に変わると、午後0時台のうちに19800円台を回復して19830円近辺まで上昇。1時台には19850円を突破して高値を取りながら1時30分、19871円まで上昇した。「前場は比較的静かで、後場にわかに上昇」というパターンは3営業日続いている。

 2時に9月の景気動向指数改定値が発表された。一致指数は前月比+0.1ポイントの112.3で、速報値のマイナスをプラスに上方修正。先行指数は101.6で-1.9ポイント。内閣府の景気の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。11月の月例経済報告の景気の基調判断は「一部に弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」で2ヵ月連続の据え置き。政府はTPP総合対策本部を首相官邸で開き、TPP対策をまとめた政策大綱を決定した。農業では2020年に農林水産物と食品の輸出額を1兆円に乗せる目標の前倒し達成を目指すと明記。2020年にインフラシステムの海外受注約30兆円、2018年度の放送コンテンツ関連の海外売上高約200億円などの数値目標が盛り込まれた。中小企業の海外進出も支援する。2時に再開した上海市場は小幅プラスで小動き。夏から秋口にかけての桂林の山のような乱高下が影をひそめたのは、いい傾向。2時台の日経平均は19840~19870円の狭いレンジで、終盤は抑えられ大引けは77円安の19845円と6日ぶりに反落したが、3ケタ安ではなく呼吸を整えるような小休止。日中値幅は85円しかなかった。TOPIXも1600割れ。上海総合指数は0.88%のプラスで終えていた。

 日経平均終値は77.31円安の19847.58円、TOPIX終値は-11.27の1594.67。売買高は20億株、売買代金は2兆1891億円。値上がり銘柄数は518、値下がり銘柄数は1294。プラスのセクターは電気・ガス、鉱業、石油・石炭、鉄鋼、非鉄金属、繊維の6業種。マイナスのセクターは27業種で、下位は証券、その他金融、銀行、パルプ・紙、空運、保険などだった。

 26日の日経平均は反発。NYダウは1.20ドル高で続伸。NASDAQは続伸、S&P500は反落。感謝祭前日で34丁目から来た奇蹟のサンタクロースが取引所内を徘徊するなど遊び半分ホリデームード。薄商いで前日終値をはさんだ小幅な値動きに終始した。ロシアとトルコの軍事衝突は回避。こんな時にお互いの帝政時代に12回もあったという「露土戦争」などやっている場合ではない。ヨーロッパ市場は来週のECB理事会を意識したユーロ安を好感して揃って反発していた。

 NY市場は経済指標の発表ラッシュ。中身は強弱まちまち。個人所得は前月比+0.4%で市場予測と一致。前月から0.2ポイント減。個人消費支出は+0.1%で前月と同じだが市場予測を0.2ポイント下回った。耐久財受注額は+3.0%で市場予測を1.5ポイントも上回った。ミシガン大学消費者態度指数確報値は91.3で速報値から1.8ポイント下方修正され、市場予測を下回った。新築住宅販売件数は+10.7%の49.5万戸で市場予測の50.0万戸を下回った。全米住宅価格指数は前月比0.8%上昇、前年同月比6.1%上昇。新規失業保険申請件数は前週比1.2万人減と改善した。アメリカ長期金利は低下、原油先物は続伸し終値43ドル台回復。為替はドル高・ユーロ安が進みドル円は122円台後半、ユーロ円は130円台前半。金先物はドル高を受けて反落した。CME先物清算値は19930円だった。

 25日午後、証券取引等監視委員会のGメンが出動し、「村上ファンド」の村上世彰氏を相場操縦の疑いで強制調査、任意聴取。風説の流布よりも相場操縦の方が罪は重い。日経平均は82円高の19929円で始まる。TOPIXは1600台に乗せてスタート。すぐに19950円を超え「2万円チャレンジ」態勢に入る。為替も円安方向で、前週もそうだったが木曜はチャンス。午前9時6分に19975円まで上昇し、2万円まであと25円。先物は9時20分に2万円にタッチし、9時27分には19991円をつけてあと9円。ここまできたら蚊が刺したような刺激でも待望の大台にタッチするが、照れ屋さんなのか、モジモジもったいぶったまま時間が経過する。チャンスをものにできないまま10時前には19950円を一時割ってしまう。10時30分を前に先物が再び2万円にタッチし、2度目のチャンス到来。しかし10時29分のあと8円の19992円どまりで、またチャンスを逃す。上海は小幅プラスでスタートしたが、徐々に上げ幅を圧縮していく。前場はもうチャンスは訪れず19960円付近で小幅もみあい。「村上ファンド」関連銘柄は全面安だが、それでも3ケタのプラス。2万円にあっさりタッチしたら利益確定売りで大きく下がるところ、「寸止め」でタッチしないので、すぐ下のレベルで長持ちする。昔から、満月ではなくその手前の「十三夜の月を愛でる」という風雅な言葉がある。上海市場は小幅プラスを維持。前引けは111円高の19959円だった。