16日の日経平均は大幅続落。前週末13日のNYダウは202ドル安。NASDAQ、S&P500ともども大幅安。ヨーロッパ市場は軒並み安で、小売売上高は前月比0.1%増で市場予想に届かず、生産者物価指数も同様。原油先物価格も40ドル台まで下落して投資家心理が悪化した。シカゴVIX指数(恐怖指数)も20まで上昇していた。シスコシステムズが決算発表時に発表した業績見通しが保守的で大幅安になるなどハイテクセクターがさえない。百貨店の決算が不調で、26日の感謝祭から始まる年末商戦に不安な見通しが出た小売も軟調だった。金先物は小幅高。CME先物清算値は19415円。取引終了後、「13日の金曜日」の夜にフランスの首都パリで同時多発テロが発生し、サッカーの国際試合中のスタジアムで、盛り場の飲食店で、ロックコンサート会場で合わせて130人を超える死者が出た。「地政学的リスク」が再燃して19日朝方の為替レートは円が買われてドル、ユーロが売られ、ドル円は122円台前半、ユーロ円は131円近辺だった。
石油業界に再編の連鎖反応。JXHD<5020>と東燃ゼネラル石油<5012>が経営統合を打診という報道が流れ、東証は両銘柄の売買を一時停止する措置をとった。取引時間前に今週最注目の国内経済指標、7~9月期国内総生産(GDP)速報値が発表された。年率換算-0.8%で2四半期連続のマイナス。市場予測の-0.3%を0.5ポイントも下回った。悪材料だが、政府の補正予算編成や日銀会合の政策期待を呼び込む可能性がある。
フランス・パリの残虐な無差別テロの後、世界の主要株式市場で最初に開く東京市場。もしボロボロ下落したらテロリストの思う壺だが日経平均は332円安の19263円で始まり、先物主導で午前9時3分に19252円まで下げた後、「チェック」マークの形で19300円台半ばまで上昇。TOPIXもマイナスで始まり序盤、同じような値動きをたどる。200日線を下回っていた時間は20分ほどで、9時46分には「マーケットはテロリストの思いのままにならない」という意志を示すかのように19400円を突破。10時台前半も徐々に上昇を続け、10時17分に19451円まで上昇して下げ幅を圧縮する。為替もリスクオフからリスクオンにスイッチし、ドル円は122円台後半、ユーロ円は131円台後半に。上海市場は1.5%を超えるマイナスで始まるが徐々に下げ幅を縮める展開で、日経平均は19400円を少し超えた水準で動きが乏しくなる。19400円を割り込んでも一時的で、前引けは189円安の19407円だった。
上海市場はプラスになれないが小幅安で午前中の取引を終了。後場の日経平均は19400円を割り込んで再開する。午後1時台前半までは19400円をはさんで膠着状態。テロに弱い空運セクターや保険セクターは大幅安だが、朝方発表のGDPの悪さが政策期待を呼び込んで19400円を大きく割り込まない。「週明けの欧米市場の様子を見てから」というムードもあった。産業機械受注が発表され、9月は前年同期比32.9%減、4~9月(上半期)は22.6%減と悪かったが、「いいは悪い、悪いはいい」で政策期待を生んで株価が維持される。上海市場の午後の取引はマイナスで再開するが下げ幅を圧縮。2時台の日経平均も19440円付近まで上昇するが、終盤は為替のドル円がやや円高に振れて19400円を割り込み、大引けは203円安の19393円。大幅続落だが「思ったほどボロボロにされなかった」というところか。TOPIXは1570台を確保して終えた。日経平均先物日中取引は19410円で終了。上海総合指数は終盤プラスに浮上し0.72%高で引けていた。
日経平均終値は203.22円安の19393.69円、TOPIX終値は-14.30の1571.53。売買高は17億株、売買代金は2兆357億円で、様子見もあり10月22日以来の薄商い。値上がり銘柄数は417、値下がり銘柄数は1380。値上がりセクターは石油・石炭、鉱業の2業種のみ。値下がりセクターは同時多発テロでフランス行きの団体ツアーも個人旅行もビジネスの出張もキャンセルが相次ぎ3%を超える下落を喫した空運を筆頭に、その他製品、小売、保険、電気機器、輸送用機器など。
17日の日経平均は3日ぶり大幅反発。前日の東京市場が、大幅安でもリスクオフを引き受けて食い止める「太平洋の防波堤」になったおかげか、フランクフルトDAX指数もロンドンFTSE100指数も上昇。パリCAC指数はさすがに0.07%の小幅安で3日続落だったが、週明けのNYダウは237ドル高の高値引け、大幅高で4営業日ぶりに反発。6日ぶり反発のNASDAQもS&P500も大幅高で終えた。「マーケットはテロに屈しない」は世界の総意。NY連銀製造業景気指数が4ヵ月連続のマイナスで市場予測も下回ったこともありマイナスで始まったが、すぐプラスに浮上しどんどん高値を取っていく展開。原油先物価格の4日ぶりの上昇もエネルギー関連の株価を押し上げた。下げたのはやはり航空やホテルチェーン。「有事の金買い」で金先物価格は4日ぶりに反発。ドルも買い戻され、ドル円は123円台前半、ユーロ円は131円台後半。CME先物清算値は19685円だった。
トルコのアンタルヤで開かれていたG20首脳会議は経済問題の討議の時間が減り、対テロ国際連帯などを決議し閉幕。テロによる世界的リスクオフの波、マーケット連鎖崩壊の危機を食い止めた「ごほうび」で今週、政策期待もあり2万円にどこまで接近できるか楽しみな日経平均は247円高の19641円で大幅反発スタート。TOPIXも1590台に乗せて始まった。序盤は午前9時7分に19628円の安値をつけるが、9時台のうちに19700円にタッチ。しかしタッチしただけでその後は19700円のやや下での水準が延々と続く。上海市場はプラスで始まり、徐々に水準を上げていく展開だが日経平均はもう反応しない。それでも11時台には19700円台に乗せ、前引けは312円高の19706円だった。
上海はプラスのままで午前の取引を終えたが、後場の日経平均は19700円割れで再開。それでも300円高前後の大幅高。午後1時に10月の首都圏・近畿圏マンション市場動向が発表され、首都圏はプラスの市場予測を裏切って-6.5%で2ヵ月連続のマイナス。傾斜マンション・杭打ちデータ偽装問題を受けて大型物件の販売先送りが出たという。ファーストリテイリング<9983>が「ヒートテック」の素材を提供されている東レ<3402>と戦略的提携を締結し、東レが開発した新素材を使った商品を「ユニクロ」で販売し、今後5年間で取引1兆円を目指すという。2時台前からは19700円台に再び乗せる。2時に再開した上海市場はプラス圏を保ちながらも少しずつ下げていく展開。しかし日経平均は2時3分に19726円の高値をつけた。しかしそのまま19700円台で終わることはできず、終盤はこの日の安値近くまで下げ、前日比で大幅反発はしたものの236円高の19630円で終えた。9日ぶりにローソク足は陰線(黒)になった。それでも頭を抑えられてテクニカル指標がこなれ、「伸びる前に屈せよ」効果は出る。日中値幅は98円と小さい。TOPIXは安値引けで1590台を保てなかった。
大引けの急落の要因はリバランス売買。国際分散投資の有力インデックス「MSCI」の構成銘柄に、4日に新規上場した日本郵政<6178>、ゆうちょ銀行<7182>が新規に採用され、大引けでそのリバランス買い。日経平均にもTOPIXにもまだ採用されていない銘柄を買って、採用されている他の銘柄を売ってバランスをとるため、指数が下落するのは当然と言えば当然。リバランスと無関係の日経平均先物日中取引は19680円で終えていた。東京市場の終盤は上海も下げ足を早めていたが、上海総合指数はその後、マイナスに落ちて0.55%安で終えた。
日経平均終値は236.94円高の19630.63円、TOPIX終値は+14.58の1586.11。売買高は22億株、売買代金は2兆6513億円。値上がり銘柄数は1501、値下がり銘柄数は317。32業種が上昇し、その上位は鉄鋼、石油・石炭、水産・農林、鉱業、パルプ・紙、非鉄金属など。下落した業種は保険1業種だけだった。