祭り復活させ、被災地を元気にする義援金活動とは

2012年06月04日 11:00

 昨年の東日本大震災により、その多くが中止・延期・縮小を余儀なくされた日本各地に伝わる祭り。中でも東北地方の祭りは、町や中心となる神社が大きな被害を受け、実施が不可能となった。そんな祭りの中に、「岩手・三陸山田祭」がある。この岩手三陸山田祭を復活させようと昨年から義援金活動が行われており、今年4月28日に、集まった義援金の贈呈が行われたという。

 この義援金活動は、静岡県「遠州森の祭り」および岡山県「久世祭り」の呼び掛けにより、ダイドードリンコ日本の祭り事務局が、早稲田大学名誉教授吉村作治氏を発起人団の代表として実施したもの。ダイドードリンコでは、「祭りを通じて地域の絆作り、活性化に役立ちたい。日本の民俗文化を映像として後世に伝えたい。地域を愛する人々の想いを全国に発信したい。」という思いのもと、テレビ番組やウェブサイト、新聞などの各メディアを通じて全国の祭りをサポートしている。その繋がりが、北海道から鹿児島県まで、日本各地の祭り・奇習の主催者からの義援金を集めることを実現させたものである。

 昨年6月20日の開始以降、義援金活動に参加した団体は4月17日現在で24団体。「岩手・三陸山田祭」だけでなく、福島第一原子力発電所から半径20キロから30キロ圏内の緊急避難準備区域に実施地があり、昨年はメインであるお行列・甲冑競馬・神旗争奪戦が実施されなかった福島県の「相馬野馬追」にも直接届けられた。

 5月26日と5月27日との2日間、岩手県盛岡市中央通りや盛岡城跡公園(岩手公園)で実施された東北六魂祭2012。東日本大震災により犠牲となった多くの魂を弔い、東北の元気を発信し、復興への狼煙をあげるために東北6大祭り(青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕祭り、福島わらじまつり)が一堂に会して開催されるこの祭りは、今回が2回目。昨年の第1回には36万人もの来場者を集めた東北最大規模の祭りである。ここに集まった東北の祭りは、いずれも全国的に有名で観光化の進んだものと言えるであろう。荘銀総合研究所によると、観光客が支出した観光消費支出額は「青森ねぶた祭り」で総額497億円、「仙台七夕祭り」332億円、「盛岡さんさ踊り」208億円と、経済効果も大きい。しかし、より土着が強く、観光化の進んでいない祭りは依然として実施もままならない状況にある。被災地復興のためには、草の根レベルでの地域活性化が不可欠であろう。祭りはそれに大きく貢献するものと言える。伝統の祭りを絶やさぬ為にも、こういった義援金活動が広がることを期待したい。