年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は前日夕方、7~9月期の運用実績は7兆8899億円の赤字だったと公表した。期間収益率は-5.59%で、2014年1~3月期以来6四半期ぶりのマイナス運用。国内株式は4兆3154億円の赤字、外国株式は3兆6552億円の赤字。「巨額損失」と報じられたが、株式の運用比率を増やせば当然ありうる事態で、マーケットが2万円回復を目指した10~12月期以降に運用で取り返せばいいこと。それでも「GPIFショック」という言葉はメディアで一人歩きしそう。
7~9月期の法人企業統計の設備投資額は11.2%増で10期連続増加。日経平均は51円高の19799円で始まる。GPIFのたった四半期の運用データで狼狽するほどマーケットはウブではない。TOPIXもプラス。すぐ19800円台に乗せてさらに上昇し、午前9時台前半のうちに19900円台に乗せる。10時に中国国家統計局からPMIが発表され、製造業は-0.2の49.6で市場予測の49.9を下回った。4ヵ月連続の50割れで3年3ヵ月ぶりの低水準。非製造業は+0.5の53.6。10時台の日経平均は安定。上海市場はマイナスで始まり〃悪女〃は乱高下して暴れるが、日経平均は意に介さない。なぜならドル円が123円台の円安水準を維持しているから。10時45分に財新(以前のHSBC)の中国PMIが発表され、10月から0.3増加した48.6で市場予測の48.3を上回った。日経平均は少し凹んだが19900円台をほぼ維持し、11時台には上げ幅を拡大して19950円を超え、11時28分に19962円まで上昇する。揺れ動く上海をよそに再び2万円に接近し、あと38円。TOPIXも1600の大台に迫った。前引けは199円高の19946円で、2万円タッチの希望を後場につないだ。
上海市場は乱高下を続けながら午前の取引をマイナスで終える。為替のドル円も122円台で円高に振れたので、後場の日経平均は19920円台に後退して再開する。値動きは小さく、2万円に接近することも19000円を割り込むこともなく、19900円台前半でずっと小動き。ドル円は折り返して円安方向に向かい123円に近づくが、今週後半のECB理事会やアメリカ雇用統計の様子見もあるのか反応しない。2時に再開した上海市場はマイナスのまま。午後2時台の日経平均は水準をやや下げても19900円台は維持し続ける。上海市場がプラスに浮上してさらに上昇幅を拡大していくと、日経平均も2時台後半に19950円を超えて再び2万円に接近するが、この時点では前場につけた高値を更新できていない。それでも200円高以上の高値圏もみあい。
ところが終盤、上海の急騰に同調して先物主導で上昇のピッチが上がり、あれよあれよと2万円に急接近。「約束の地」への到達も、ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないが大引けで実現してしまい、日経平均は264.93円高の20012.40円の高値引け。その時点の先物の20010円よりも高く、まるで「神の手」のお導きのように、5度目の正直でザラ場ベースでも終値ベースでも8月20日以来3ヵ月と10日ぶりに2万円に乗せた。TOPIXも1600台に乗せて終了。上海総合指数は終盤マイナスまで急落したがかろうじて0.31%の小幅高で終えた。ほんの気まぐれでも、東京市場の大引け間際に〃悪女の深情け〃でサービスしてくれたのか? そこが、ただの意地悪な嫌われ女と悪女(ファム・ファタール)とを分けるもの、なのだろう。
日経平均終値は264.93円高の20012.40円、TOPIX終値は+21.70の1601.95。売買高は20億株、売買代金は2兆4304億円。値上がり銘柄数は1338、値下がり銘柄数は458。33業種中32業種が値上がりする全面高で、上位は電気・ガス、鉄鋼、機械、証券、卸売、電気機器など。値下がり業種は倉庫1業種のみだった。
2日の日経平均は反落し終値は2万円に届かなかった。NYダウは高値引けの168ドル高で反発。おおむね100ドル高を超える水準で終日推移した。NASDAQ、S&P500も反発。アジア市場は良かったがヨーロッパ市場は高安まちまち。ISM製造業景況指数は-1.5の48.6で市場予測の50.5を下回り、3年ぶりに50を割るネガティブサプライズ。それでも利上げを抑える要素なのでダウは短時間凹んだだけで元に戻る。シカゴ連銀のエバンス総裁が利上げに慎重な見方を示したのも、11月の新車販売台数が+6.1%と好調だったのも、原油先物が反発したのも、アドビ調べのサイバーマンデーの11月30日のネット通販の売上高が+12%で過去最高を記録したのも、みなダウの押し上げ要因になった。ウォルマートも売上の半分はネット経由という。金先物は反落。為替のドル円は122円台後半、ユーロ円は130円台後半で、ISM製造業景況指数悪化の影響でややドル安円高に。CME先物清算値は19990円だった。
2015年の新語・流行語大賞はインバウンド消費の「爆買い」とプロ野球で2人出た「トリプルスリー」。ヒット商品番付の東横綱は3月に金沢駅まで開通した北陸新幹線、西横綱はラグビー日本代表「桜ジャパン」だった。トルコ・イスタンブールの地下鉄の駅で爆弾テロ発生。前日のサプライズ気味の高値引けで8月以来の「2万円台ワールド」にタッチして終えた日経平均は、54円安の19957円と大台を割り込んで始まる。いわゆる「達成感」もある。TOPIXは小幅安で1600台を保持して直後にプラスになり、序盤は日経平均がマイナス、TOPIXがプラスの「NTねじれ現象」がしばらく続く。しかし午前9時30分頃に日経平均が19900円台後半から前半に水準を下げると、TOPIXもマイナスに。10時台の日経平均はおおむね19950円をはさんで小動きし、TOPIXも再びプラス。上海市場は小幅マイナスで始まった。しかし11時台になると上海がプラスに転じてさらに上昇し、日経平均も19980円を超える。前引け間際になると高値更新が続き、まるで前日終盤の再現のように上海に手引きされて2万円台に乗せ、10円安の20002円で前場高値引けした。TOPIXも1607まで上昇していた。
だが、「神の手」再びで〃悪女〃が素直になったと早合点したら痛い目にあう。いったん+1%超まで上昇した上海市場は再びマイナスに落ちる乱高下で午前は小幅高終了。日経平均は2万円を29円割り込んで後場再開。魔都から来た気まぐれなファム・ファタールの毒気にあてられたが、気分を出してもう一度、大引け2万円定着トライへ。しかし午後0時台は当初19970~19980円近辺で小動きしていたのが、スルスル下落して19950円を割り込む。それでもTOPIXは堅調にプラスを維持し、日経平均先物の指数プレイの要素ありあり。1~2時台は19960~19980円の狭いレンジで小動きするばかりで、2万円台を目指す気配がない。再開した上海市場は小幅プラスでガラにもなく安定し、尻上がりに上昇幅が1%を超える。為替のドル円も円安が進行し123円台に安定的に乗せる。ところが、東京市場の終盤は前日の裏返しのように先物主導の仕掛け売りが入って大引けは74円安の19938円と反落し、後場に限れば安値引け。日中値幅は76円しかなかった。やはり2万円到達と2万円台定着では、話は別だった。TOPIXはわずかなプラスだが続伸し「NTねじれ現象」出現。上海総合指数は結局、2.33%高まで上昇した。この日は魔都・上海だけでなく、密室で指数先物プレイに興じる海外勢の中にも〃悪女〃がいた。
日経平均終値は74.27円安の19938.13円、TOPIX終値は+0.31の1602.26。売買高は18億株、売買代金は2兆3057億円。値上がり銘柄数は873、値下がり銘柄数は885で拮抗。業種別騰落率も拮抗し、値上がり16業種、値下がり17業種。プラスのセクターの上位は建設、水産・農林、情報・通信、空運、電気・ガス、その他金融など。マイナスのセクターの下位はガラス・土石、パルプ・紙、精密機器、海運、倉庫、電気機器などだった。