【今週の振返り】お祭り騒ぎもまた良き哉で182円上昇した週

2015年11月07日 20:31

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2日は日銀会合への失望で改めて売り直し。4日の「郵政上場まつり」は終盤電池切れ。5日はイエレンさんの贈り物の効果今ひとつでも、6日は「アベ・クロ二重奏」で3連騰。

 2日の日経平均は4日ぶりに反落。前週末10月30日のNYダウは92ドル安で続落。NASDAQ、S&P500も下落した。それでも10月は4年ぶりの高い上昇率を記録した。ヨーロッパ市場はドイツ、フランスは上昇したが英国は下落。ダウは週末で様子見に支配されたがプラスの時間帯もあった。経済指標はまちまち。ミシガン大学消費者態度指数確報値は速報値から2.1ポイントの下方修正で市場予測を下回った。7~9月期の雇用コスト指数は前期比+0.6%。前四半期から0.4ポイント上昇し市場予測を上回った。シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は前月比+7.5ポイントの56.2で市場予測を大幅に上回り1月以来の高水準。29日発表のスターバックスの決算は増収増益。リンクトインも業績が市場予測を上回った。エネルギー大手のエクソンモービル、シェブロンの決算は減収減益ながら市場予測ほど悪くなく株価上昇。CME先物清算値は18880円。2日朝方の為替レートはドル円が120円台前半、ユーロ円が132円台後半と円高が進行していた。

 飛び石連休の谷間の日経平均は255円安の18827円で始まる。TOPIXも2ケタ安でスタート。序盤は午前9時10分に18861円まで上げた後、9時20分に18761円まで下げるが、これは日銀会合の結果が「追加緩和なし」と発表された30日後場開始直後の安値18784円より安く、「3兆円超の補正予算編成」のニュースによるその後の大幅上昇分ははかなく消え去った。観測記事には政府サイドからの追認もなかった。為替の円高も影響し18800円台に戻っても上値を追うことはできず、10時台には18700円台後半に定着したが、上海市場が1.5%を超えるマイナスで始まると下落。中国の製造業PMI(製造業購買担当者景気指数)は、前日に発表された国家統計局のものは49.8で市場予測より悪かったが、10時45分(日本時間)に発表された財新(以前はHSBC)のものは48.3で、市場予測や9月の数値より良かった。それに反応したのか上海総合指数は下げ幅を圧縮し、日経平均も少しだけ値を戻す。しかし上海はプラスに浮上できず、日経平均は18800円まで上昇できず。11時台は上海と逆に少しずつ下落し、11時29分に18702円まで下げ、前引けは357円安の18725円だった。

 上海はプラスまで上昇し小幅マイナスで午前の取引を終了。しかし後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開した後、安値を更新しながらの下落で始まる。18700円を割り込み、午後0時46分に18641円まで下げる。マイナス幅は400円をオーバー。1時台は18700円をはさみ上下50円幅ぐらいで膠着状態が続く。連休の谷間に加え、祝日をはさんで翌営業日4日の郵政3社新規上場の大イベントを前にして売買手控えムードがひろがるのも致し方なし。上海は午後の取引開始直後にプラスになる時間帯があったが、おおむね小幅マイナス水準で動きが小さくなる。東京市場で上昇しているのは電子部品関連など前週末の決算が良かった銘柄ぐらい。10月の新車販売台数は、登録車は0.2%増で2ヵ月ぶりに増加したが、「軽」は10.8%減で10ヵ月連続のマイナスと不振が続く。2時台も18700円から大きく離れずに時間が経過し、終盤も波乱なく399円安の18683円で取引を終えた。TOPIXも反落。上海総合指数は終盤に下げ幅を拡大し、1.69%安で終えていた。

 日経平均終値は399.86円安の18683.24円、TOPIX終値は-31.23の1526.97。売買高は21億株、売買代金は2兆4645億円でそれほどの薄商いではない。値上がり銘柄数は304、値下がり銘柄数は1529。33業種全てが下落し、下落幅が小さいのは金属製品、ガラス・土石、石油・石炭、電気機器、証券、空運など。下落幅が大きいのは鉄鋼、海運、非鉄金属、陸運、電気・ガス、倉庫などだった。

 4日の日経平均は反発。冬時間に変わった週明け2日のNYダウは165ドル高で3日ぶりに反発。10月のISM製造業景況感指数は前月比-0.1ポイントの50.1で、4カ月連続で低下し2013年5月以来の低水準。ほぼ市場予測通りだが雇用指数が50を割り込んだことで利上げが遠のく観測が出て株価を押し上げた。「いいは悪い、悪いはいい fair is foul, and foul is fair」のマクベスの3人の魔女は利上げまでしつこくつきまとう。

 3日の上海総合指数は0.25%下落。3日のNYダウは序盤マイナスの時間帯もあったが、原油先物価格の上昇を受けてプラスに転じ一時150ドル高に迫った。終値は89ドル高と続伸し17900ドル台回復。NASDAQ、S&P500もプラスだった。9月の製造業新規受注は-1.0%で2ヵ月連続の下落。10月の新車販売台数は+10%の1824万台で2000年9月以来の高水準。それでもイメージが悪化したフォルクスワーゲンは+0.2%と不振。GM、フォード、フィアット・クライスラーは2ケタの増加と好調。日本勢はトヨタ<7203>は+13%で10月としては過去最高で、日産<7201>も+12.5%だった。原油先物はリビアで武装勢力が港を封鎖したニュースで反発し、金先物は4日続落。為替のドル円は121円近辺でやや円安。ユーロ円は132円台後半。CME先物清算値は19030円と19000円台に乗せていた。

 2日に大手百貨店4社が発表した10月の既存店売上高速報値は、全社が前年同月比プラスで7ヵ月連続の増加。日経平均は258円高の18941円で高く始まる。TOPIXも20ポイント以上高く開始。午前9時6分に19000円台に乗せて19015円まで上昇するが、大台は数分間だけで上値は重い。郵政3社の新規上場日で、東証アローズは朝からセレモニーで華やいだ雰囲気。スーパールーキーにマーケットの関心も資金も吸い取られたのか、序盤の日経平均は19000円の少し下の水準で膠着状態になり、時々19000円にタッチするだけ。9時33分に日本郵政とゆうちょ銀行、10時6分にかんぽ生命の初値がついて「1987年のNTT上場以来」と騒がれた熱気も一段落。28年前は東証に立会場があった。

 中国の「5中全会」で、習近平国家主席は経済5カ年計画に関し「最低でも年6.5%の経済成長が必要」と発言。成長率の具体的な数値目標が出てきた。上海市場はプラスで始まって徐々に水準を切り上げていく堅調な展開。超大型新規IPOイベントを通過した10時台の東京市場は、まるでエネルギーを補給されたかのように19000円台に乗せて徐々に上昇を開始し、11時台には75日移動平均の19075円も19100円も突破。TOPIXも1550を超えた。為替のドル円が121円台半ばまで円安に振れたことも上昇の要因。その後も上昇を続け、11時26分に19140円の前場高値をつけ、前引けは451円高の19134円だった。

 上海市場はプラス2.5%を超える大幅高で午前の取引を終え、後場の日経平均は19145円でこの日の高値を取って再開。午後0時35分に19151円まで上昇するが、その後は徐々に水準を下げていく。2時に発表された10月の消費動向調査の消費者態度指数は前月比で0.9ポイント上昇し41.5。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。1時台は19100円前後の水準を保っていた日経平均だが、2時台になると再び下落し19000円を割り込む。午後再開した上海市場は午前中から変わらず+2%台の大幅高を維持したが、前場は円安に振れていたドル円が反転し円高が進行した。2時台は18950円付近まで下がって小動きし、前日比では250円以上高いものの19000円台には戻れない。終盤は「お祭り」で騒いだ疲れなのか電池が切れたように下落して243円高の大幅高でありながら18926円で安値引け。1550台を保てなかったTOPIXもJPX日経400も東証マザーズ指数も安値引け。それを尻目に上海総合指数は+4.30%の大幅高で終了した。