一昔前、40代~60代といえば「シニア向け」の商品やサービスのターゲットだった。が、今はやや違うようだ。MMD研究所が今年10月、全国40~69歳の男女1035人を対象にウェブアンケートを実施したところ、4割が「シニア向けサービス」というカテゴリへ魅力を感じていないことが分かった。ウェブを使った調査なので、サンプリングに偏りがあると思われるかもしれない。が、大手広告代理店の博報堂も、50~60代向けマーケティングとして、「シニアから新大人へ」とのスローガンを提唱している。様々な分野で、従来の「シニア」イメージでは捉えきれない層をターゲットとする動きが出てきているのだ。
今回のMMD研究所の調査では、40~60代男女を対象に、シニア向けの携帯電話及び家電・デジタル機器について聞いている。その結果、シニア向けの商品やサービスの利用は携帯電話で3.6%、家電・デジタル機器で2.5%だった。また、「シニア向けサービスに興味がある」との回答は、携帯電話で23.4%、家電・デジタル機器28.7%となった一方、「魅力を感じない」人が携帯電話で42.7%、家電・デジタル機器で43.8%となり、「既に利用している」「興味がある」を上回った。60代でも37%が、「シニア向けには興味がない」と答えている。
また、40~60代の男女を対象に、商品やサービスについての考え方を聞いたところ、家電・デジタル機器については、世代が上がるにつれて「価格が高くても納得するものを選びたい」という傾向があることがわかった。一方、携帯電話については、世代が上がると共にその率は下がり、逆に「必要最低限でよい」という回答が、世代が上がるにつれて増えている。
購入場所はどうか。家電・デジタル機器の購入の仕方について複数回答(最大3つまで)で尋ねた結果、「実店舗で見てそのまま購入」が61.1%で最多となった。一方で22.6%は「ネットで検索して実店舗で購入する」と回答している。
「シニア向け」と銘打った商品には魅力を感じないが、年齢とともに「携帯電話は最低限の機能があればよい」と考える中高年層が増える。一方、家電製品は質や性能などの付加価値をより重視する「新大人」像が浮かび上がってきた。(編集担当:北条かや)