アイ・エム・ジェイ<4305>によるとシニア世代のスマホ所有率は60代が22%、70代が14%であり、今後も所有率は増加傾向にあるという。
老人ホームを訪問して驚いたことがある。90代のお年寄りが筆者の持っていたiPhoneを羨ましがるのだ。「こういうの欲しいんだよね。みんな持っているじゃないの。でも買ってもらえないんだ」
モバイル端末市場全体では、スマートフォンを利用する人が増加している。携帯電話やパソコンにほとんど触れずに生活するシニア世代(60歳以上)も存在する一方、アクティブシニアと呼ばれるデジタル家電やスマートフォンを積極的に利用するシニア世代も現れている。
アイ・エム・ジェイが調査した「シニア世代のスマートフォン利用に関する実態調査」(調査期間:2013年8月23日~8月27日、有効回答数:772名)によると、シニア世代におけるスマートフォン保有率は60代で21.9%、70代以上で14.1%だという。そのスマートフォン保有者の半数以上が「満足・やや満足」しているが、満足している人の57%はiPhoneユーザーだ。いわゆる「らくらくスマホ」の満足度は低い。
シニア世代には「らくらくスマホ」のように、いかにもお年寄り向け商品よりも、若い世代が使いこなしているスマホを持ちたいという欲求が感じられる。冒頭の筆者が出会った90代のお年寄りも然り。スマホを利用して良かった点として、満足している人のコメントをみると、「調べものがスムーズにできるようになった」「様々なアプリが使えるようになった」「カメラが簡単に使える」など他の年代と変わらずスマホの一般的なメリットを挙げている。アクティブなシニア世代は若年層と同じiPhoneを使いこなし、同じような使い方をしているのだ。
筆者の70代の両親も今年からiPadを使い始めた。毎日生まれたばかりの孫の動画が送られてくるのを見るためだ。シニア市場は100兆円市場ともいわれ、事業機会として捉えている企業も多い。しかしシニア世代についての知識と理解が乏しいマーケティング事例も見受けられる 。シニア世代が求めているのは必ずしもシニア向けの商品ではない。若者と同じものを同じように使いたい欲求があることも理解したい。(編集担当:久保田雄城)