厚労省は子供の声が元の騒音トラブルを防止するため、保育園に防音壁を設置する予算を2015年度補正予算案に計上するという。これは子育てしやすい環境づくり対策の一つだ。以前から子供の保育園と保育園の周辺住民との間で子供の声を巡るトラブルが各地で相次いていたことを受けている。
人が「騒音」と感じる音には様々なものがあるが、最近では子供が遊ぶ声も「害」として対策が必要のようだ。
以前から各地で保育園と施設の周辺住民との間で子供の声を原因とする騒音トラブルが発生している。こうした状況を受け、厚生労働省は認可保育園に騒音対策用の防音壁を設置する予算を2015年度補正予算に計上するという。
安倍政権の掲げる目標「新三本の矢」のうちの一つ、出生率1.8を達成させるためには子育て環境の改善が急務だ。現在の状況を打開するため、保育園を増設する必要があるが、子供の声の騒音トラブルで保育園新設が進まない地域もあり、こうしたトラブルを避けるためにも政府は保育園の防音壁の設置を支援し、周辺住民に理解を求めたい考えだ。
子供の声を巡るトラブルは各地で頻繁に報告されている。一部では訴訟にもなっており、昨年は神戸市の70代の男性が近隣保育園の運営団体を提訴した。また、東京都国分寺市では保育園からの子供の声に苦情を訴えていた男が、保育園の保護者を斧で脅すという事件まで発生している。
こうした状況下、保育園新設計画が上がっても周辺住民からの理解が得られず、新設を断念する団体も少なくないのが現状だ。
今年3月に厚生労働省が15歳~79歳、男女3000人に行った「人口減少社会に関する意識調査」によると、35.1%が「子供の声が騒音」であることに同感である、と回答している。一方、同調査内で0歳~15歳の子供がいる人の不安内容のトップは「子育ての出費がかさむ」で46.2%、次いで「将来予想される子供にかかる経済的負担」が40.8%となっている。
つまり今後、子育て世代の不安を解消しつつ出生率を上げるためには、保育園増設によって共働き世帯を支援し、保育関連施設の騒音対策も同時並行して行うという難題に対処する必要がある。
そもそも防音壁を設置しても子供の声を完全に遮断できるわけではなく、ましてや夢中で遊ぶ子供に発声を自制させることは非常に難しい。子供の養育、または子供を保育園に預けて働く子育て世代全般への国民の理解が必要だろう。(編集担当:久保田雄城)