高齢化の進行にともない、年金、医療費、介護費などの社会保障給付費が膨らんでいる。社会保障給付費は主に社会保険料や公費を財源とし、治療時の窓口負担など自己負担分は含まれない。その社会保障給付費は年々増加傾向にあり、1991年度には50兆円を超え、2009年度には100兆円を突破している。そして23日の国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、13年度の社会保障給付費が前年度比1.5%アップの110兆7000億円であったことがわかった。前年度よりも1兆6000億円余り増えて、過去最高を更新。国民1人あたりでは前年度比1.7%アップの86万9300円で、前年度よりも1万4500円増加した。
内訳を見てみると、「年金」が前年度比1.2%アップの54兆6085億円で、分野の中で最も多かった。「医療」が前年度比2.1%アップの35兆3548億円、最も増加の幅が大きかった。介護や生活保護、子育てなどの「福祉・その他」が前年度比1.5%アップの20兆6933億円といずれも分野も前年度を上回った。「福祉・その他」のうち、介護だけだと前年度比4.7%アップの8兆7879億円であり、最も増加の幅が大きかった。
そして1人あたりの社会保障給付費は前年度比1.7%アップの86万9300円で、過去最高を更新。国内総生産(GDP)に対する比率は22.91%で0.07ポイントマイナスとなった。こうしてマイナスになるのは23年ぶりのことで、景気回復によりGDPが増加したことが影響した。
一方、社会保障給付費の財源の内訳を見てみると、「社会保険料」が49.6%、国や自治体の「公費負担」が33.9%、年金積立金の運用などによる「資産収入」が12.4%となっている。ここのところ、毎年度ごとに社会保障給付費は過去最高を更新しており、国立社会保障・人口問題研究所は高齢化の進行、また医療技術の高度化などにより、増え続けているとの見方を示している。「高齢化社会」という時限爆弾が時を刻む音は、常に私たちの耳にも聞こえていたはずであり、今もその音は耳にこだましている。しかし、抜本的な解決策を見いだせないまま、ここまで来てしまった。そろそろ、その問題から目をそらすのではなく、しっかりと取り組む時期に来たのではないか、今回の結果を目にすると、そうした危機感を抱かずにはいられない。(編集担当:滝川幸平)