交通事故 救急自動通報システム「D-Call Net」試験運用開始

2015年12月16日 08:40

 救急ヘリ病院ネットワークは、トヨタ<7201>、ホンダ<7267>などと共同で、ドクターヘリやドクターカーの出動を早期判断する救急自動通報システム(以下、D―Call Net)の試験運用を開始した。

 D―Call Netは、交通事故発生時の車両のデータを活用し、新たに開発した死亡重傷確率推定アルゴリズムを用いて、乗員の死亡重傷確率を推定し、ドクターヘリ基地病院に通報することにより、ドクターヘリやドクターカーの早期の出動判断を行い、交通事故での救命率向上を図る。

 国内では、日本緊急通報サービスが緊急通報システム「ヘルプネット」を2000年から提供しており、エアバッグが展開するような事故が発生した際に、車載機から現在位置及び走行軌跡データがオペレーションセンターに自動配信され、「ヘルプネット」のオペレーターが通報者との会話・要請により警察・消防等の救助機関に接続することで、早期の救命・救助活動を可能としてきた。

 今回試験運用するD―Call Netは、現状の「ヘルプネット」をさらに発展させたもので、エアバッグ展開時の自動通報とともに、衝突の方向・厳しさやシートベルト着用の有無などの車両データを日本緊急通報サービスのオペレーションセンターに自動配信し、280万件の事故データをもとにした死亡重傷確率推定アルゴリズムにより、運転席・助手席の死亡・重傷確率を推定する。

 その情報をドクターヘリ基地病院へ送信することで、救急救命に関わる機関の救助活動に活躍する、ドクターヘリやドクターカーの出動を早期に判断することが可能となり、医師による治療開始までの時間の短縮を実現し、交通事故での救命率の向上をめざすとしている。D―Call Netの試験運用には、全国9ヵ所のドクターヘリ基地病院が参加する。

 トヨタはトヨタブランドでは、マイナーチェンジしたランドクルーザー(15年8月)、マイナーチェンジしたクラウン(10月)に、レクサスブランドでは新導入したLX(8月)、フルモデルチェンジしたRX(11月)、マイナーチェンジしたGS、新発売のGS―F(11月)にD―Call Net対応車を展開している。

 またホンダは13年6月に発売したアコード以降、メーカー純正ナビにBluetooth接続可能な携帯電話を活用したD―Call Net対応機能を搭載している。17年には国内のD―Call Net対応車は約40万台まで拡大する見込みだ。 (編集担当:久保田椅雄城)