トヨタの2016年世界販売、前年とほぼ横ばい

2015年12月18日 08:29

 先月24日に、高級車ブランド「レクサス」のスポーツタイプ多目的車(SUV)の「レクサスRX」が好調な立ち上がりをみせ、発売約1ヶ月で月間販売目標である500台の約18倍にあたる9000台を受注したとの発表を行ったトヨタ自動車<7203>だが、16日、同社はダイハツ工業<7262>と日野自動車<7205>を含むグループ全体の2016年の世界販売台数を、15年見込み比0.2%増の1011万4000台にするとの計画を発表した。

 16年は12月9日に投入されたハイブリッド車(HV)「プリウス」などの新型車が中心となって寄与するとの見通しとともに、17年の春に実施が予想される消費税増税前の駆け込み需要などを見込んで3年連続で1000万台超を計画したものの、4年ぶりに前年を下回る15年見込みとほとんど横ばいの販売台数となっている。国内やアメリカでの販売は堅調に推移するものの、経済の減速が続く一部の新興国などで販売台数が減少するのではないかとの見込みから、15年見込み並みの計画となり、過去最高であった14年の1023万台を下回った。

 国内の販売台数、海外の販売台数それぞれの計画を見てみると、国内は投入された「プリウス」の効果や4月に実施された軽自動車税増税の影響もある程度収まるのとの予想を織り込んだ上で、同3.2%増の223万1000台を計画。2年ぶりにプラスとなっている。一方海外での販売台数は同1.0%減の788万4000台を計画しており、5年ぶりにマイナスとなる。ガソリン安によりSUVの販売が好調なアメリカや西ヨーロッパは堅調に推移すると予想しているものの、政治情勢が不安定なタイなどのアジア地域や、原油安の影響を受ける中近東地域については、前年を下回るのではないかと予想している。

 トヨタ自動車はあわせて15年の世界販売台数の見込みも発表しており、15年は前年比1.3%減の1009万8000台を見込んでいる。東南アジアでの販売が予想よりも低迷したことで、今年1月に発表した計画1015万台よりも約5万台マイナスとなった。なお、トヨタ自動車と世界販売台数を争うドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、15年の世界販売台数を前年並みの1015万台としている。この販売台数の通りに推移すれば、北米の排ガス規制不正逃れ問題により業績を落としてはいるものの、VWとトヨタ自動車が、きわどい首位争いを繰り広げそうな気配だ。(編集担当:滝川幸平)