15年のDMP、MA市場規模は前年比30.8%増の272億円に

2015年12月25日 08:20

 矢野経済研究所では、国内のDMPサービス市場/MAサービス市場の調査を実施した。調査期間は2015年9月~11月、調査対象は国内デジタルマーケティングサービスベンダーなど。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 デジタルマーケティングとは、企業が自社や第三者が保有するデータを活用して、ITを利用したマーケティング活動を行い、製品やサービスの内容を消費者に最適に到達させる手法をいう。なお、この調査では、デジタルマーケティングサービスのうち、DMP(Data Management Platform、DMP)とMA(Marketing Automation、MA)を対象とした。

 DMPとは、様々な販売チャネルにおける顧客の行動データを集約して分析することで、顧客の特徴を明らかにし、広告、メール、DMなどのマーケティング施策を最適化するシステムやサービスをさす。MAとは、大量の見込顧客や既存顧客を一元化し、自動的に評価し、設計したシナリオに基づいて、シナリオを自動実行させ、顧客を個別に育成することで確度の高い商談を創出するシステムやサービスをさす。

 それによると、DMPサービス市場と MAサービス市場を合算した、2014年のデジタルマーケティングサービスの市場規模(事業者売上高ベース)は208億円であった。多様化した顧客のニーズに応えるために、ビッグデータを活用した One to One マーケティングを行うユーザー企業の増加やDMP、MAに対する認知の拡大などにより 2015年の同市場規模は前年比30.8%増の272億円になると見込んでいる。

 これまで、デジタルマーケティングサービスの分野ではクリエイティブ系のマーケティングソリューション企業やコンサルティング企業の存在感が大きく、SIer(System Integrator)は存在感を示せていない。しかし、顧客との接点がデジタル化すると、フロント(営業部門)の要件に応じて基幹システムをアップデートしなければならない状況が出てくることや、業種・業界の知見を持つ人材が豊富であることなどが求められるという。それらの要件は、SIer がデジタルマーケティングサービス市場でビジネスを展開する上での大きな強みになるので、今後の活躍が期待できると考えるとしている。

 デジタルマーケティングサービスは、中堅・中小企業こそ未だ情報収集段階の企業が多数派を占めるものの、大企業では本格的な導入・検討のステージに入っており今後も市場は拡大の見通しであるという。

 また、IT を初めテクノロジーの進展によりマーケティングをビジネスの中核として捉える企業が増加基調にあることや、企業の IT 投資が管理・効率化から変革・成長へとシフトしはじめていることがデジタルマーケティングサービスに対する前向きな投資を生み、2020年のデジタルマーケティングサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、2014年比で約2.7倍の559億円に達すると予測している。(編集担当:慶尾六郎)