矢野経済研究所では、国内の事業継続/防災/情報セキュリティソリューション市場に関する調査を実施した。調査期間は2015年8月~2015年11月、調査対象は事業継続/防災/情報セキュリティソリューション提供事業者(IT 事業者、通信事業者、セキュリティソフトメーカー、コンサルティング事業者、シンクタンク、保険系事業者、警備会社等)。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・Eメールによる取材、ならびに文献調査を併用した。
それによると、東日本大震災以降、民間企業におけるBCPに対する意識は高まっており、クラウドを活用したBCP対策、DR対策に取り組む企業も増えているという。政府や地方自治体でも、BCP対策や防災システムの見直し、高度化・高機能化が進められている。また、日本でのサイバーテロ攻撃被害が現実味を帯びてきたことから、ソリューションベンダー各社にはユーザーからの問い合わせが活発化し、サイバーセキュリティ対策は徐々に活性化してきた。このような状況から、2015年度の国内の事業継続/防災/情報セキュリティソリューション市場(事業者売上高ベース)は前年度比105.4%の7,858億円と見込んでいる。
また、日本でのサイバーテロ攻撃の事例は2011年から多く見られるようになり、2015年度には、日本年金機構における標的型サイバー攻撃被害のインシデントなどもあり、企業や団体では、サイバーセキュリティ対策の導入を促進する機運がさらに高まっているという。さらに、近年のサイバーテロ攻撃による情報漏洩被害の増加などから、情報セキュリティ対策を重要な経営課題と位置付ける企業や地方自治体が増加すると思われ、これにともない対策への投資も継続的に続けられているため、2015年度の情報セキュリティソリューション市場(事業者売上高ベース)は前年度比105.9%の5,466億円と見込んでいる。
そして、2016年度以降は主だった企業がBCP対策を完了済みであること、またクラウド型のサービスの登場によるサービス単価の下落などが影響し、市場の伸びは鈍化していくとしている。ただし、BCP の策定率はまだ決して高いとは言えず、政府や地方自治体でもシステムの見直しや高度化・高機能化を定期的に進めているため、国内の事業継続/防災/情報セキュリティソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、2013年度から2020年度まで年平均成長率 3.9%で推移し、2020年度に9,076億円に達すると予測している。(編集担当:慶尾六郎)