BPO市場はCAGR2.4%で推移し、2019年度には4兆426億円に

2015年12月09日 08:26

 矢野経済研究所では、国内の BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の調査を実施した。調査期間は2015年8月~11月、調査対象はSIer、印刷系BPO事業者、コールセンター事業者、会計系 BPO 事業者、事務書類系BPO 事業者、人事系BPO 事業者、人材派遣系 BPO 事業者、オフショア系 BPO 事業者、倉庫系 BPO 事業者、福利厚生系 BPO 事業者、DM系 BPO 事業者、営業系 BPO 事業者、マイナンバー対応 BPO 事業者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・E メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。

 この調査における BPO とは、通常企業内部にて行われるシステム運用管理業務、コールセンター系業務(コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント)、間接部門系業務(人事、福利厚生、総務、経理)、直接部門系業務(購買・調達、営業、コア部門単純業務、業界固有業務)などの業務を発注企業から業務委託を受けて代行するサービスを指す。

 それによると、BPO 全体の2013年度から2019年度までの市場規模は、年平均成長率(CAGR)2.4%で推移し、2019年度には4兆426億円(事業者売上高ベース)に達すると予測している。BPOのうち、IT系BPOの2013年度~2019年度の市場規模は、年平均成長率(CAGR)3.4%で推移し、2019年度には、2兆3,700億円に達すると予測した。

 一方、非IT系BPOの2013年度~2019年度の市場規模は、年平均成長率(CAGR)1.1%で推移し、2019年度には、1兆6,726億円に達すると予測している。

 IT系BPO市場におけるシステム運用業務は専門性が高く、簡単に内製化できる業務ではないため、非IT系BPO市場よりも高い成長率で推移すると予測している。また、データセンターへの投資額が大きいため、参入障壁が高く、高単価を比較的維持しやすいことも高い成長率を維持できる要因の一つとなっているとしている。

 非IT系BPOの導入時においてコスト削減効果や業務改善効果を最大化するためにはシステムの導入が不可欠になってきている。そのため、非IT系BPOにIT系BPOが付加される形で提供されるケースも増えているという。

 また、非IT系 BPO は、異業種からの参入企業の増加による価格競争の激化というマイナス要因こそ存在するが、人材不足の影響によって、企業が外部のリソースに頼る傾向は強まっているという。特に利用が増えているのは中核(コア)業務をサポートするBPOサービスであるという。この背景には、緩やかながらも景気回復の兆しが見え、企業がコア業務の拡大に意識を向けるようになっていることがあるとしている。

 2015年度は、企業の従業員・その扶養家族、保険業界の契約者・受取人、証券業界における特定口座の顧客などのマイナンバー収集および保管・廃棄などの業務を代行する「マイナンバー対応BPOサービス」の導入が進むと予測している。また、人材不足の影響や外資系企業の日本市場参入などに伴うアウトソーシング需要が想定されることから、2015年度の非IT系BPO市場規模は前年度比 1.4%増の1兆6,122億円になると見込んでいる。

 2016 年度は、「マイナンバー対応BPOサービス」の利用が本格的に進むほか、2017年4月の消費税再増税前に企業基盤の整備を進める企業が出てくるとみられ、その際にBPOサービスの導入が進むことなどから、前年度比1.1%増になると予測している。(編集担当:慶尾六郎)