MAZDA、「ロータリーエンジンを決して諦めていない」宣言を成就するのはいつ

2015年12月31日 14:08

Mazda_RX_Forecast

ロータリーエンジン搭載スポーツ「RX-VISION」は、FRスポーツとして美しさを追求した見事なフォルムで登場した。全長×全幅×全高4389×1925×1160mm、ホイールベースは2700mmとされるディメンションは、全幅以外きわめて現実的と言える

 第44回「東京モーターショー2015」で、最も気になるコンセプトモデルを出展したのはMAZDAだ。ロータリーエンジン(RE)搭載のスポーツカーのコンセプトモデル「Mazda RX-VISION(マツダ・アールエックス・ビジョン)」をプレスデーの朝一番で世界初公開した。

 モーターショー会場でマツダの社長・小飼雅道氏は、「マツダはREの研究・開発を継続しています。「SKYACTIV-R」というエンジンの名称については、SKYACTIV技術の開発時と同様に、“常識を打破する志と最新技術をもって課題解決に取り組む”という意味が込められています」と述べて、MAZDAがロータリーエンジンを放棄していないという決意を宣言した。

 先般、ショーで見せたモデルで分かっていることは、フロントミッドにREを搭載するFR(フロントエンジン+後輪駆動)のスポーツカーだということだけだ。ショーモデルはあくまでデザインコンセプトで、エンジンは積んでいない。エクステリアの造形は、典型的なロングノーズ&ショートデッキで、キャビンは極めて小さい。その長めのプロポーションは、ロータリーエンジンを完璧なフロントミッドシップ搭載したリアルスポーツにみえる。

 発表されたプレスリリースには、ボディサイズ全長×全幅×全高4389×1925×1160mm、ホイールベースは2700mmと記載される。ショーモデル故の全幅は市販の際には見直されるはずだが、ほかのディメンションは非常に現実的な数字だ。

 世界最量販スポーツカーである同社ロードスターと並んでMAZDAを象徴するのが、「ロータリーエンジン」だ。シンプルな構造で軽量・コンパクト。しかも回転バランスに優れ、高出力が得られる。しかし、燃焼室形状が原因とされる不完全燃焼による燃費の悪さや排出ガス対策の難しさが付きまとう。2012年の「RX-8」生産終了後、MAZDAロータリーエンジン搭載車は途絶えたままだ。今回のモーターショーでMAZDAは、1967年にREを実用化させた「コスモ・スポーツ」を復刻登壇させ、「マツダ・スポーツコンセプト」を発表した。そこに、MAZDAの意気込みが感じられる。

 熱烈なMAZDA「RX」ファンはロータリーエンジン搭載車復活を熱く熱く渇望しており、今回のマツダの発表は、1971年デビューの「サバンナRX-3」を経て、その後の日本のスポーツカーを代表する1台となったピュアスポーツ「RX-7」が、SKYACTIV技術を得てようやく復活となるのか、期待は高まっている。

 搭載エンジンは、“恐らく”という前置詞が必要だが、2007年に記者発表で技術解説がなされた800cc×2ローターの16X型の流れを汲んだエンジンだ。かねてより噂に上っては消える、開発が続けられているとされる次世代ロータリーエンジンが、同社スカイアクティブ技術よって燃費向上と環境性能アップを達成し、市場に投入される日を待ちたい。

 2017年、1967年にコスモ・スポーツが量産型ロータリーエンジン搭載車として発売されて50周年を迎える。MAZDAの前身である東洋工業の創立100年は2020年だ。さぁ、どこでロータリーエンジン搭載スポーツ「RX-VISION」復活を宣言するのか?(編集担当:吉田恒)