「栄光の3日間」で2015年を締めくくれるか?

2015年12月28日 05:12

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「掉尾の一振」どころか、暗黒面へ墜ちた。このまま終わるわけにはいかない5日続落。大納会まで3日間。新たなる希望をもたらす救世主が現れるとしたら、それは誰なのか?

 今週の3日間、そんな淀んだ空気を吹き払ってくれる「風」は吹くのか? 暗黒面に墜ちた東京市場をよみがえらせる「救世主」は現れるのか? その第1候補は、やはりクリスマス休暇が明けて戻ってくる海外の機関投資家だろう。今年は1月2日が土曜日、3日が日曜日で、1月1日の「ニューイヤーズ・デイ」の休日と合わせるとNY市場は3連休になるので、その分の前倒しも含め今週は目いっぱい東京市場で売買してくれそうだ。そして第2候補はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、共済年金、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀のETF買入の、俗に言う「5頭のクジラ」。これは「官庁御用納め」の28日は特に期待できそうだ。

 前週、世界から取り残されてしまった東京市場の値頃感に海外投資家が吸い寄せられ、日本の5頭のクジラが買い出動して空を飛べば、一陣の新しい風が吹いて前週、妙な税金対策で売っていた個人投資家も呼び戻して「掉尾の一振」の上昇気流が巻き起こる。「実質新年相場入り」とは、そういうことだ。

 なお、昨年12月30日の大納会の日経平均終値は17450円で、25日時点ではそれより1319円も高いので、年末時点の資産残高を〃お化粧〃する「ドレッシング買い」にあまり多くは期待できないと思われる。

 そんなハッピーエンドの期待を込めながら25日の日経平均終値18769.06円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、4本の移動平均線は全て上にある。近い順番に75日線の18786円、5日線の18869円、25日線の19418円、200日線の19506円。25日終値は日足一目均衡表の「雲」(18370~19150円)のど真ん中に位置している。今週3日間の雲は、下限は18430円で固定され、上限は19232~19312円。雲の上に出れば25日線は近い。ボリンジャーバンドでは25日線-2σの18495円と-1σの18957円の間にあり、+1σは19879円ではるか上。トレンド系のテクニカル指標は5日続落したことで、前々週末と変わらず「下値限定、上値は追える」ような低めのポジションにつけている。

 オシレーター系のテクニカル指標は「売られすぎ」シグナルが3つ点灯している。RCI(順位相関指数)は-51.7で-50を下回って売られすぎ、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は19.3で30を下回って売られすぎ、ボリュームレシオは28.5で30を下回って売られすぎ。76.7の25日騰落レシオ、-3.5%の25日移動平均乖離率、3勝9敗で25.0%のサイコロジカルラインも低め。RSI(相対力指数)は38.0だった。これより下がったら、オシレーター系指標は売られすぎシグナルが揃ってまばゆく点滅し、イルミネーション・コンクールで優勝できる。

 需給データもメジャーSQの11日から時間が経過し、落ち着いてきた。7~11日の週の外国人の「現物+先物」の売り越しはケタ外れの1兆1586億円だったが、14~18日の週は1576億円の売り越しに激減。11日時点で4010億円減った裁定買い残は18日は660億円増えて3兆3686億円に戻り、信用倍率は11月27日4.34→12月4日4.74→11日5.13→18日5.17と徐々に上昇している。14~18日の週の投資主体別株式売買状況は、外国人は9週ぶりの330億円の売り越しだが売りも買いも9月以来の9兆円超えというハイレベル。まさに東京市場を生かすも殺すも外国人次第という様相を呈していた。それが前週はクリスマス・ウィークで激減してまるで「ブラック・ホール」のようになっていたが、今週はその反動が期待できる。個人は3週間ぶりの572億円の売り越し、信託銀行は1071億円の買い越しだった。

 トレンド系、オシレーター系のテクニカル指標も需給データも、今週の反発を示唆している。下値はボリンジャーバンドの25日線-2σの18495円でも下げすぎと言えるかもしれない。一方、上値は75日線の18786円、5日線の18869円、12月SQ値の18943円、25日線-1σの18957円をゴボウ抜きして19000円の大台を回復し、「雲」の上限も超えて25日線の19418円、200日線の19506円に接近できるとみる。雲の向こう側はいつでも青空だ。大納会で2万円を回復できなくても、19500円付近まで戻すことができれば、今週に「掉尾の一振・栄光の3日間」の称号を与えてもいいだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは18500~19500円とみる。少なくとも最後は19000円台に乗せて、週間騰落はプラスで終わりたいところ。

 2015年。投資家は良いことも、悪いことも、いろいろな経験をした。激動する情勢の中で、リスクヘッジのような投資手法にしても、目新しい金融商品にしても、にわかに浮上したテーマ銘柄物色にしても、結果的には「やってみたが、ムダだった」ことがあったかもしれない。だが、その経験も長い目で見れば、いつか、どこかで役に立つ日が来ることもあるだろう。「世界に、不要のものなし」(南方熊楠)(編集担当:寺尾淳)