【今週の展望】日経平均2万円タッチイベントの「延長戦」

2015年11月29日 20:37

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日経平均の12月の騰落は過去13勝2敗。ECBの追加緩和に、FOMCは利上げ濃厚。補正予算が編成され、さて日銀は?師走のお楽しみは、これからだ

 今週、11月第5週(11月30日)、12月第1週(12月1~4日)は5日間の取引。今年も早いものでせわしない師走入り。12月の日経平均の月間騰落は2000年以来、大相撲なら優勝もありうる13勝2敗の好成績。昨年は30日の大納会の下落で月間マイナスに変わり、千秋楽惜敗。3日にはドラギ総裁が追加緩和を示唆しているECB理事会、4日にはアメリカの雇用統計の発表がある。

 世界の主要株式市場の休場日は、11月30日にフィリピンが「ボニファシオ・デー」の祝日で休場する。19世紀のフィリピンの独立運動家・アンドレス・ボニファシオの誕生日。1896年にフィリピンの支配に対し武装蜂起したが、翌年に独立派の内部抗争で逮捕、処刑された。庶民出身で悲劇的な死を遂げたため、今も国民の間で人気が高い。

 国内の経済指標は11月30日の鉱工業生産指数速報値、商業動態統計が重要になる。

 11月30日は10月の鉱工業生産、商業動態統計(小売業販売額など)、住宅着工戸数、12月1日は7~9月期の法人企業統計、11月の百貨店各社の売上高速報、2日は11月のマネタリーベース、4日は10月の毎月勤労統計調査、11月の消費動向調査、車名別新車販売が、それぞれ発表される。

 11月30日に日銀の黒田総裁が名古屋市で講演を行い、記者会見を開く。12月2日に日銀の岩田副総裁が岡山市で講演を行い、記者会見を開く。ファーストリテイリング<9983>が11月の国内ユニクロ既存店売上高を発表する。下旬から急に寒くなったので好転したか?

 主要銘柄の決算発表は少ない。11月30日はACESS<4813>、12月1日は伊藤園<2593>、2日は東京楽天地<8842>、3日はスリープロG<2375>、三井ハイテック<6966>、綜合臨床HD<2399>、アルチザネットワークス<6778>、4日はエイチ・アイ・エス<9603>、モロゾフ<2217>、ロック・フィールド<2910>、鳥貴族<3193>、日東製網<3524>、ポールトゥウィン・ピットクルーHD<3657>。

 新規IPOは2件。12月3日にインベスターズクラウド<1435>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、土地情報の提供、デザインアパートの企画、施工、賃貸管理などを手がける。公開価格は1870円。不動産有効活用のニーズを取り込んでいるが、アパート経営にコミットしているので広い意味で相続税関連銘柄。

 4日に鎌倉新書<6184>が東証マザーズに新規上場する。神奈川県鎌倉市ではなく東京が本社で、ポータルサイトを通じたライフエンディングサービスに係るマッチング事業、書籍販売事業を手がける。公開価格は 円。仏壇・仏具・仏事関係の業界誌の出版から出発し、現在は葬儀、仏壇、墓所に関する総合情報サービス企業。人口が多い「団塊の世代」が鬼籍に入る時代が近づいているので、その意味では将来性あり、か?

 海外の経済指標、イベントは12月4日の雇用統計が最も重要で、3日の木曜日はECB理事会、イエレン議長の議会証言と重要イベントが2つあるが、アメリカの1日のISM製造業景況指数、2日のADP雇用統計も重要。最近のNYダウは原油先物価格に大きく左右されているので、5日のOPEC総会で減産が決まるかどうかはかなり重要。ISM製造業景況指数は10月は50.1まで下落しており、好・不況の分かれ目の50を割るかどうかが焦点になる。

 11月30日はアメリカの11月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の中古住宅販売仮契約、12月1日は中国の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、非製造業購買担当者景気指数(PMI)、ユーロ圏の10月の失業率、アメリカの11月の新車販売台数、10月の建設支出、11月のISM製造業景況指数、2日はユーロ圏の11月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの11月のADP雇用統計、7~9月期の労働生産性指数、3日はアメリカの10月の製造業受注、11月のISM非製造業景況指数、4日はアメリカの11月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、10月の貿易収支が、それぞれ発表される。

 11月30日に国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)がパリの北の郊外にある「ル・ブルジェ・エキシビションセンター」で開会する。会期は12月11日まで。30日の首脳会議にはオバマ大統領や安倍首相も出席する予定。フランス政府は会場周辺に約2800人の警官、憲兵を配置してテロを警戒する。同じ日にワシントンDCに本部があるIMF(国際通貨基金)は理事会を開き、人民元のSDR(世界銀行引出権)への採否を決める。12月1日にオーストラリアとインドで政策金利が発表される。2日にイエレンFRB議長が講演を行う。3日にECBの定例理事会が開かれ、結果発表後にドラギ総裁が記者会見を行う。イエレンFRB議長がワシントンDCの連邦議会上下両院合同経済委員会で議会証言を行う。フィッシャーFRB副議長が講演を行う。FRBが「ベージュブック(地区連銀経済報告)」を発表する。4日にウィーンでOPECの定例総会が開かれる。

 アメリカ主要企業の決算は12月3日にダラー・ゼネラルが発表する予定。

 前週の日経平均は、26日はザラ場に3回、27日は始値の時点で2万円まであと少しに迫ったが、タッチできなかった。あきれた人もいたかもしれないが、物は考えよう。目標達成後の先物・オプションのポジション解消売りで日経平均がゴソッと下がることもなく、下値を手堅くキープしながら今週の「延長戦」で2万円タッチの次のチャンスをうかがえる。時間が経過するとともにテクニカル指標の「買われすぎ」もだんだん解消していき、状況はよくなっていく。あせらなくても満を持したところで2万円にタッチし、2万円台に定着し、さらに上を目指せばいい。