NHKが「おとうさんといっしょ」、背景にイクメン増加

2013年01月25日 11:54

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00年代以降、共働き世帯の増加やワーク・ライフ・バランス意識の高まりなどによって、父親が育児することへのハードルは下がってきた

 NHKは4月から、幼児向けの新番組「おとうさんといっしょ」をスタートさせると発表した。BSプレミアムで毎週日曜日の朝8時に放送し、土曜日の夕方に再放送の予定。育児に積極的な「イクメン」が増えていることなどを受け、週末に子どもと過ごす父親に一緒に番組を楽しんでもらい、遊び方や接し方のヒントも提供するのが狙いだという。

 00年代以降、共働き世帯の増加やワーク・ライフ・バランス意識の高まりなどによって、父親が育児することへのハードルは下がってきた。若い世代では「イクメン」という言葉を使うまでもなく、父親の育児参加は当たり前になっている。

 時事通信社が全国の男女2000人を対象に調査したところ、父親の育児については「許す範囲内で参加すればよい」という“マイペース派”が約5割と最多。次いで「父親も育児を分担して積極的に参加すべき」とする“積極参加派”が約4割。「父親は外で働き、母親が育児に専念すべき」とする“伝統的子育て派”は6.6%しかいない。20代では“積極参加派”が54%と最多で、若い世代ほど父親の育児参加に対する意識が高いという結果が出た 。

 このように意識面でのハードルは下がったが、実際はどうだろうか。内閣府によると、6歳未満の子どもをもつ父親の育児時間は1日平均して約30分。欧米諸国と比べ半分程度にとどまる。家事の時間を加えても、日本の父親が家事・育児にかける時間は1日平均1時間程度で、欧米諸国と比べて約3分の1、というのが現状だ 。

 日本の父親を育児から遠ざけているのは、言うまでもなく長時間労働。子育て期にある30代男性の約5人に1人が週60時間以上働いており、他の年代に比べ最も高い水準となっている(平成23年版「子ども・子育て白書」)。平日に1日12時間も働きながら、育児に関わるのは難しい。

 このような現状を考慮したのか、「おとうさんといっしょ」は土日に放送される予定。平日は仕事、土日は育児。母親の大変さは言うまでもないが、日本の父親がゆっくり休む暇はなさそうだ。