2014年の玩具卸業界は「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」の爆発的人気で、国内市場規模は過去10年で最高の売上高を記録したが、2015年は2大ヒット商品の人気一巡で、本来の売れ筋商品の目利き力が問われた一年だった。東京商工リサーチによると、同社の企業データベース、約300万社から抽出した玩具卸売301社の業績は最新期(2014年8月期-2015年7月期)の売上高は8,532億6,600万円(前年同期比4.5%増)だった。しかし、当期純利益は104億4,300万円(同33.4%減)と大幅な減益となった。
玩具卸売301社の最新期(2014年8月期-2015年7月期)の累計売上高は8,532億6,600万円で、前年同期(8,161億8,900万円)から4.5%増加した。最新期が増収決算は124社(構成比41.2%)、減収は124社(同41.2%)で同数、横ばいは53社だった。増収企業は前期の134社から10社減少したが、売上上位の卸業者を中心に売上高を大きく伸ばした。
増収の124社の主な扱い品は、模型やフィギュアなどのホビーが21社、小物玩具、花火などの季節商品が16社、ゲーム、カードゲームなどが16社、雑貨15社、ぬいぐるみが12社だったという。
301社の最新期の当期純利益は104億4,300万円(前年同期比33.4%減)だった。利益率の高いオリジナル玩具のヒット商品が少なく利益を押し下げた。また、海外からの輸入玩具は円安で仕入価格が上昇し、収益を圧迫した。業績回復を背景に、不良資産処分で特別損失を計上して減益となった業者もあった。
一方、売上高伸長率をみると、玩具卸業界のヒット商品への依存がわかる。増収率100%以上は4社(前年同期2社)、10%~100%未満51社(同66社)で、10%以上は合計55社(前年同期68社)にとどまった。
また、北陸新幹線開通に伴う鉄道模型人気や各種キャラクター玩具、ブーム到来のけん玉人気も後押しした格好となったという。爆発的なヒット商品が出なくても玩具卸業界は、売れ筋商品をどう見分けて取り扱うかの目利き力が問われているとしている。
少子化が進む中で、玩具小売の市場は家電量販店や流通大手7社で全体の6割を占めるほか、インターネット通販が1割を占め、従来の小売店は市場の2割を占めるにとどまっている。特に、インターネット通販の台頭で、地方を中心に体力の脆弱な小売店などは倒産や廃業の動きが進んでいる。こうした玩具小売店の減少は、玩具二次問屋や三次問屋の経営を直撃するだけに、今後は中小・零細規模の玩具卸業者の淘汰が進む可能性もあるという。
流通業界を巻き込んだ大手小売店の玩具市場の寡占化が進む一方、インターネットによる無店舗販売も市場を拡大している。これまでの市場環境が大きく変化する中で、いかに消費者ニーズを先取りした商品を開発できるか、卸業界の力量が真剣に問われている。同時に、販売チャンネルとして重要な中小小売店との連携も必要で、今後の玩具卸業界の生き残り策は転換点に差し掛かっているとしている。(編集担当:慶尾六郎)