【今週の展望】陰の極、寒々しい鉛色の冬空に新しい春を待つ

2016年01月17日 20:33

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ほんのささやかでも感じてみたい、春の気配。そのきっかけは、ECB理事会か?原油先物価格や海外の経済指標の好転か?中国人民銀行や中国政府の政策か?

 オシレーター系指標は前々週末に引き続き「売られすぎ」シグナルが派手に点灯している。25日騰落レシオは59.8で70を下回って売られすぎ。25日移動平均乖離率は-8.2%で-4%を下回って売られすぎ。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は16.9で30を下回って売られすぎ。ボリュームレシオは23.1で30を下回って売られすぎ。RCI(順位相関指数)は-93.7で-50を下回って売られすぎ。特に騰落レシオは、約3年前にアベノミクス相場が始まって以来の低水準に沈んでいる。23.3のRSI(相対力指数)も、4勝8敗で33.3%のサイコロジカルラインも、売られすぎ水準寸前の低さ。

 4~8日の週の需給データを見ると、裁定買い残はマイナーSQ週なので7421億円の大幅減。信用倍率(貸借倍率)は5.09%から5.80%にアップしたが、投資主体別株式売買動向に異変あり。12月28~30日のデータと比べると外国人投資家が14億円の買い越しから4471億円の売り越しに転じ、個人投資家が2066億円の売り越しから5815億円の買い越しに転じて「対面」になっているが、自己売買が3764億円という大量の売り越しを演じているのが目をひく。

 これでは買い方にとっては多勢に無勢。年が明けてからのカラ売り比率が12日を除き40%を超える高水準がずっと続いたのも、それで納得がゆく。東京市場を新年6連敗の暗黒面に落とした悪役については、やれ原油先物で損をしたヘッジファンドだ、やれ財政が厳しくなった産油国のオイルマネーだとささやかれたが、どっこい、証券会社の自己売買部門も相当なワルだった。敵は、すぐ近くにもいた。

 ワルの正体がわかったところで今週の下値を考えてみると、15日のCME日経225先物は17000円を割り込んだものの、終値の防衛線は17000円になるだろう。「原油先物安→アメリカ株安→為替の円買い」の連鎖と、アメリカの利上げや中国経済の行方など先行きへの「漠然とした不安」によってドル円が117円台をウロウロしている限り、日経平均は17000円付近を意識せざるを得ない。前週は14日に17000円を一時割り込んだが、昨年9月29日のザラ場安値16901円までは下がらなかった。15日は割り込まずにすんでおり、心理的な節目になっている。

 一方、今週の上値を考えると、前週は13日にザラ場で17717円まで上昇している。テクニカル指標がトレンド系もオシレーター系も売られすぎなので、ドル円レートが118円台になればその程度の水準までの反発力は健在。ボリンジャーバンドで言えば25日線-2σの17179円を超えて-1σの17868円に近づく。移動平均線の25日線、75日線、200日線を内包している日足一目均衡表の「雲」ははるか上にあり、その下にはこれといった抵抗線がないので、今週は何かをきっかけに17800円台まで届く可能性はあるとみる。

 そのきっかけとは何か? 候補としては、12月の理事会で「ドラギのやるやる詐欺だ」と不満が渦巻いたECB理事会での追加緩和や、原油先物価格の反転、海外の経済指標の好転、あるいは中国人民銀行や中国政府の新たな政策などが考えられるだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは17000~17900円とみる。陰の極、寒々しい鉛色の冬空に新しい春を待つ。(編集担当:寺尾淳)