2015年11月に国土交通省が発表した住宅着工統計によると、住宅着工の動向としては前年同月比で8か月ぶりの減少となった。要因として考えられることは、前年同月に大規模な分譲マンションの着工が多かったことなどが挙げられる。また、貸家の着工も6ヶ月ぶりの減少となったが、全体で見ると3万戸を超える高い水準で推移していることから、堅調を維持しているとみていいだろう。
一方、戸建住宅については前年同月比で6ヶ月連続の増加となっており、消費税率引上げの駆け込みの反動からは完全に持ち直した様子が見てとれる。しかしながら、今後は更なる増税も控えていることから、依然として予断は許さない状況だ。
住宅メーカー各社の、12月度の戸建住宅の受注速報を見てみると、大和ハウス<1925>がマイナス1% 、住友林業<1911>もマイナス1%、タマホーム<1419>がマイナス3%となっている。軒並みマイナスではあるものの、12月は住宅市場にとって閑散期でもあるので深刻な落ち込みというほどではないだろう。とくにタマホームに至っては、11月度の受注が113%となっていることから、前倒しの影響とも考えられる。
そんな中、中堅のアキュラホームが受注金額ではあるものの、12 月単月で前年比 129.86%と大幅な伸びを見せているのが面白い。同社では業績好調の要因として、2014 年に一新した同社の基幹商品「住みごこちのいい家」が好評だったこと、また、太陽光発電による売電収入によって、住宅ローンなどの経済的負担を軽減することを全面に打ち出した収納付き住宅「太陽を活かす家」が顧客の支持を得たことを挙げている。
商品のインパクトだけでなく、マンションの偽造問題などが社会問題化している昨今、顧客の心理としては大手のブランドよりも地域に根付いた信頼のおける業者へと関心が移行しているのかもしれない。もちろん、大手も圧倒的な組織力とずば抜けた商品力で顧客のニーズに柔軟に対応していく強さがある。どちらを選ぶかは顧客次第だ。2016年はまだ始まったばかりだが、2017年に控えた消費増税の駆け込み需要の獲得競争は、すでに始まっている。(編集担当:松田渡)