新築住宅か中古住宅のどちらを購入すべきか??、各所で議論が繰り広げられているが、日本では依然「新築派」が大半を占めている。しかし、近い将来、中古住宅市場が大きな成長を見せてくれそうだ。専門家が家屋の傷み具合を調べる「住宅診断」の推進を国土交通省が決定したのだ。
2018年の施行を目指し、今国会に宅地建物取引業法の改正案を提出。売買の仲介契約時に住宅診断を実施するかどうかを売り主や買い主に確認するよう、不動産仲介業者に義務付ける。住宅診断が普及すれば、中古住宅の売買を安心して行えるようになる。
国土交通省が発表したデータによると、日本の既存住宅(中古住宅)の流通シェアは14.7%(2013年)と、先進国の中でも極めて低い。アメリカ90.3%、イギリス71.1%、フランス64.0%(いずれも09年)と比較すると、日本は新築志向が非常に強いことがわかる。
米国では不動産仲介のエージェントの働きで、住宅診断が当たり前のように行われているそうだ。さらに、築年数の古い住宅もインテリアを美しくコーディネートし、モデルルームのようになっている。高い物件に見せるために、売主が専門家にコーディネートを依頼するのも珍しくないという。
日本の既存住宅流通シェアが低い理由は様々だ。日本の住宅の平均寿命は約26年程度と言われている。アメリカは44年、イギリスは75年だ。歴史や風土の違いもあり、住宅に対する意識が大きく異なる。
日本は「木造文化」であり、住宅はいつか朽ちるものだから、状況によって立て直すものという意識が根強い。多くの一戸建てが25年で上モノの価値はゼロと査定され、古い物件は更地にしたほうが売れるのが現状だ。対する欧米は「石造文化」だ。住宅は永続的に残るものであり、改良をして使い続けていくと考える人が多い。
住宅診断によって質が担保された中古住宅が増えれば、住宅購入の選択肢が広がり、リフォーム市場も活性化するだろう。若年層もマイホームを取得しやすくなる。住宅に対する意識も、欧米に近づく日が来るかもしれない。(編集担当:久保田雄城)