2015年の住宅市場を賑わわせた、賃貸併用住宅・店舗併用住宅の魅力とは?

2015年12月30日 19:46

画・「一戸建てマイホーム」の理想は健在 60%以上が購入するなら新築一戸建てを希望.doc

ハウスメーカー各社がセールスポイントにしているのが、将来のライフスタイルや家族構成の変化に柔軟に対応できるという点だ

 2015年の住宅市場のトレンドの一つは、賃貸併用住宅だった。その大きな理由の一つが、15年1月に施行された相続税及び贈与税の税制改正だ。相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことによって課税対象者が飛躍的に増えたことで、節税対策のための一つの手段として「小規模宅地等の特例」が適用できる賃貸併用住宅・店舗併用住宅への注目が高まったのだ。

 もちろん、賃貸併用住宅・店舗併用住宅のメリットは節税だけではない。なんといっても一番の魅力は家賃収入だ。家を建てる際、住宅ローンの返済は大きな負担となるが、賃貸併用住宅・店舗併用住宅なら、入居者からの家賃収入を住宅ローン返済にあてることができる。もちろん、ローン完済後も家賃収入が得られるので、将来の安定収入を見込むことも可能だ。しかも、通常の専用住宅よりも借入金額を増やすことができるため、外観や自宅スペースなどにワンランク上の仕様を取り入れることも可能だ。

 さらに今、ハウスメーカー各社がセールスポイントにしているのが、将来のライフスタイルや家族構成の変化に柔軟に対応できるという点だ。例えば、今は二世帯住宅として利用しておき、将来的に親世帯が住んでいた部分をリフォームして賃貸住宅として活用することもできる。

 新築だけでなく、老朽化の進んだ建物を建て替えたり、リフォームしたりして、老後を快適に暮らそうとする人も増えている。しかも、副収入を得られる上に、相続税対策まで同時に行えるのだから、人気が高まるのも納得だ。また、これまで賃貸併用住宅や店舗併用住宅といえば、ある程度まとまった土地がないと対象外のようなイメージがあった。しかし最近では20坪程度、都心部などでは15坪程度の狭小地でもコンパクトな賃貸併用住宅の経営に乗り出すケースも増えているという。そこで、大手ハウスメーカーだけでなく、中小の工務店や地元密着型のハウスメーカーでも積極的に勧めているようだ。

 その中の一つ、アキュラホームの担当者に話を聞いてみた。同社では、10kw以上の太陽光発電を標準で搭載し、その売電収入で住宅ローンの負担を大幅に軽減する「太陽を活かす家W」を2015年の秋冬に限定販売していた。この商品のもう一つのセールスポイントが、まさに住居スペースを2分することを予め想定した仕様を施すこと。つまり、必要に応じて賃貸併用住宅に変更し、その収入を売電収入と合わせることで住宅ローン実質0円を目指すことを可能にしている点だった。

 アキュラホーム担当者によると、賃貸併用を想定して建築することで、将来的に二世帯にすることも可能なので、可変性に優れたところも大きなメリットだという。いずれにしても、今だけを考えて家を建てるのではなく、将来設計を見据えた人が賃貸併用住宅を選んでいるという。

 もちろん、賃貸併用住宅にもデメリットはある。住宅ローンの返済リスクや空室リスク、さらには騒音や管理の問題など、大家になれば、責任もそれだけ付きまとう。その辺りも充分に考慮した上の話ではあるが、新築や建て替えリフォームの際はぜひ、将来を見据えて前向きに検討したい方法だ。(編集担当:藤原伊織)