クラシックカー市場が盛り上がりを見せている。中でもフェラーリは圧倒的で、2014年9月から15年8月の1年間、世界中のカーオークションで出品されたクラシックカーの落札価格上位10台のうち7台、上位100台のうち52台を占めている。
2014年8月、モントレーで開催されたオークションで、1962年製のフェラーリ「250GTO」が3800万ドル(約36憶円)で落札された。2014年9月から15年8月の1年間、世界中のカーオークションで出品されたクラシックカーの落札価格上位10台のうち7台、上位100台のうち52台がフェラーリというデータからわかるように、圧倒的な支持を得ている。「株や絵画よりもフェラーリのクラシックカーに投資するほうがリスクが少ない」と言うファイナンシャルコンサルタントがいるくらいだ。
昨年2月、フランスで開かれたクラシックカーオークションでは、1961年製の「250 GT SWBカリフォルニア スパイダー」が1630万ユーロで落札されたが、決して状態の良い車ではなかった。塗装は剥がれ、傷だらけ。にも関わらず約21憶円もの価値が付いた。
フェラーリのクラシックカー市場を見てみると、中古価格が5年で5倍ほどに高騰している例もあるという。絵画やアンティーク家具といった昔からの定番コレクションは値崩れ傾向にあるが、クラシックカーは主要オークションでの取引価格が10億ユーロ(約1200憶円)を超え、20年前の約25倍を記録した。
中でもなぜフェラーリのクラシックカーが人気なのか。フェラーリは価値向上のために先手を打っていたのだ。06年に「価値あるクラシックカーとしての認定制度 フェラーリ・クラシケ」を設け、生産した時と同じオリジナルを保っているか等の基準をクリアした車を「本物」だと証明した。
さらに、改造車や状態の悪い車においては、同制度にてオリジナルの状態に復元することができる。これらの取り組みにより、さらなる価値の向上を実現した。
また、オークションハウスも市場の盛り上がりに大きく貢献している。クラシックカーの相場を作るだけでなく、カーコレクションを持つオーナーが亡くなった際には遺産である車を預かったり、安心して取引できるよう情報をしっかり公開している。
国産自動車では日産<7201>「スカイラインGT-R」等が注目されている。今後、国内メーカーが世界のクラシックカー市場にどのような戦略を仕掛けるのか。大きなチャンスを掴んでもらいたい。(編集担当:久保田雄城)