近年、自動車を取り巻くマーケットは変化してきている。若者のクルマ離れ、社会の高齢化、女性ドライバーの増加など、ユーザー属性の変化に伴い、人々のクルマに求めるものが多様化している。そんな中、クロス・マーケティングは18歳~69歳の男女、約3000人を対象に、「自動車保有に関する調査」を行った。
それによると、自動車の価値は、「クルマを保有するコト」と「クルマを運転するコト」の二つの視点があり、それに「安心さ」や「ストレスを感じさせない」といった要因が加わる。「クルマを保有するコト」についてユーザーが重視するのは、「安心・安全」「生活に即していること」「経済的」といったことだ。「個性的」「ステータス意識」といった意見は少数だった。今年・上半期の売れ行きベスト3は、1位アクア、2位プリウス、3位フィットなのだが、なるほどこういった事情からか選ばれたのだとわかる。
もうひとつ「クルマを運転するコト」については、若年層や女性を中心に「運転が苦手だが必要だから仕方なく」、「できれば運転したくない」との意見が多かった。「運転することそのものの楽しさ」と答えた人は少数だった。
かつて、クルマとは、「個性的」、「ステータス意識」を表現するツールの側面も間違いなくあった。だからこそ、使い勝手では4ドアにかなわないトヨタ<7203>のソアラ、セリカ、日産<7201>のシルビア、ホンダ<7267>のプレリュードといった2ドアクーペがよく売れたのだ。
また「ステータス意識」は、「いつかはクラウン」というトヨタのコマーシャルコピーに象徴されるように、多くのユーザーが持っていた。またメルセデスベンツを所有することが、ステータスの極みだったと言ってもいいだろう。スポーツカーでいえばポルシェやフェラーリだろう。
今年は、マツダ<7261>のロードスターの10年ぶりのフルモデルチェンジや、ホンダのS660のデビューもあってスポーツカーが脚光を浴びている。でもそれは単純にニュースバリューがあるだけで、かつてのような「憧れ」になることはもうないだろう。なぜなら「運転することそのものの楽しさ」こそがスポーツカーの醍醐味なのだから。(編集担当:久保田雄城)