アメリカの主要企業の10~12月期決算発表は月末の29日までがピークになる。
25日にハリバートン、マクドナルド、D.R.ホートン。26日にフリーポート・マクモラン、P&G、コーニング、ジョンソン・エンド・ジョンソン、VMウェア、AT&T、アップル、コーチ、3M。
27日にボーイング、ユナイテッド・テクノロジーズ、テキサス・インスツルメンツ、サンディスク、イーベイ、フェイスブック、クアルコム、キャタピラー。28日にパルト・グループ、アンダーアーマー、マイクロソフト、ビザ、ニューコア、フォード、キャタピラー、アマゾン、アリババ。29日にシーゲイト・テクノロジー、シェブロン、マスターカード。
年明けから下落続きで、「このままパラダイム・シフトになるのか?」「カタストロフか?」とも思わせた日経平均だが、前週21日が「陰の極」だったのか金曜日の22日終値は16958.53円まで切り返した。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は5日線が16679円で下にあり、18056円の25日線、18724円の75日線、19369円の200日線は上にある。12日に25日線が75日線を下に抜く「デッドクロス」が起きた後は日経平均の下落がなかなかおさまらず、25日線と75日線の間隔は開く一方だった。
日足一目均衡表の「雲」は18456~19309円。75日線をその中に含む。今週は、雲の上限は19237円から27日に19251円へ14円上がるだけだが、下限は18700円から27日の18885円まで185円上がり、遠ざかっていく。とは言っても22日時点で終値は下限まで約1500円も離れ、よその惑星よりさらに遠い、よその恒星系のような話。もっとも、雲は来週末の2月7日と8日の間でねじれ、その後は雲が毎日どんどん下がっていく「天孫降臨」が起きるので、2月は変化月になりそうな予感はある。
ボリンジャーバンドでは、22日終値は25日線-1σの17121円のすぐ外側に位置する。21日終値は-2σの外だったからたった1日で大きく改善した。25日線+1σは18990円で雲の中にある。
22日に猛チャージでスコアをリカバリーしても、オシレーター系指標は「売られすぎシグナル」がいくつも点灯したままだ。25日移動平均線乖離率は-6.5%で、売られすぎ基準の-4%、-5%を下回っている。25日騰落レシオも61.3で売られすぎ基準の70を割り込んでいる。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は17.8で売られすぎ基準の30よりだいぶ下にある。ボリュームレシオも20.6で売られすぎ基準の30の下。RCI(順位相関指数)は-90.9で、売られすぎ基準の-50をかなりの程度、割り込んでしまっている。
それでも16000円を割りかけた21日の終値と比べると「売られすぎ」シグナルが2つ消灯した。新年の3勝目をあげてサイコロジカルラインは3勝9敗の25.0%になり売られすぎを脱した。RSI(相対力指数)も29.8で売られすぎのレベルから離れている。
需給のデータを確認しておくと、前々週12~15日の投資主体別株式売買動向は外国人は2109億円の売り越し、個人は2566億円の買い越し、信託銀行は1200億円の買い越しで、4~8日の週と同じ状況。信託銀行の買い越しは律儀に8週連続だった。
15日時点の裁定買い残は2兆3375億円で8日から2222億円減。今年に入って約1兆円の裁定買い残が消えた。それだけ1月は激しく裁定解消売りされているということ。一方、信用倍率(貸借倍率)は6.04で0.24ポイントの上昇。大納会の12月30日と比べると0.95ポイントも増加している。それでも株価が下がるというのは、「追証」に追いつめられたりして投資家の信用の投げ売りが出ている状況を示している。数字は正直だ。
なお、年明けからずっと40%以上の高水準で推移しているカラ売り比率は前週も変わりなく、18日は40.6%、19日は42.6%、20日は41.7%、21日は40.7%、22日は40.1%。これだけ高いと上昇時、麻雀の点数にウマがつくような「カラ売りの踏み上げ」が期待できる。22日に起きたお祭りのような941円高の急騰には、これも貢献していた。
今週は中央銀行イベントの週。前週はECB理事会があり、金融政策は現状維持だがドラギ総裁が3月の追加金融緩和を示唆すると、ヨーロッパ以上に22日の東京市場が反応した。そして今週はFOMCと日銀会合がある。アメリカは12月に久々に利上げしたばかりで、原油先物や株式のマーケットの状況がひどく経済指標も弱含みなので2ヵ月連続の利上げはまずなく、やれても3月だろう。
日銀のほうは黒田総裁が15日に国会で、「現時点で追加緩和は考えていない」とにべもなく発言して株価が急落した。「やらない」と言いながらやったらサプライズになるが、今回は見送ったとしても、〃口達者なイタリア男〃ECBのドラギ総裁にならって、記者会見で「(次の日銀会合の)3月にやるかもしれない」というニュアンスをほのめかしてみるのも、マーケットには少なからぬ反応をもたらしてくれるはずだ。孫子の兵法の「戦わずして勝つ」ではないが、手を出す前にまず口を出す。すなわちマーケットとの対話によって形勢を有利にすることはできる。
黒田総裁にそんな器量があるかどうかはわからないが、日銀会合への期待は自然に盛り上がりそうだ。早くも22日にその兆候が現れ、株価の推進力になっていた。とはいえ29日に結果が出るまでは「かりそめの上昇」にすぎず、悪材料が飛び出せば、そこでまぼろしのように消え去る運命にある。そのため、今週の上値が一気に25日線の18056円付近まで上昇するというのは、「やらない」と言っていた追加緩和の本格的なものを突然ぶつけてきたケースに限られるだろう。そうでなければ1月SQ値の17420円付近かそのやや上、というのが現実的な線だろうか。
一方、下値のほうでは今週、22日の941円高の揺り戻しが一度はくると思われる。「カラ売りの踏み上げ」によるワルノリ気味の上昇分が入っていたからで、16700円付近まで下げても不思議はない。5日線の16679円あたりが下値のメドだろうか。22日の上昇もその程度にとどまれば662円高で、まだナチュラルなレベルだった。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16700~17500円とみる。日銀は下手に「プチ緩和」するよりも「緩和予告」するほうが、今のマーケットには効くか?(編集担当:寺尾淳)