ホンダ<7267>が30年かけて研究・開発した小型ジェット機「ホンダジェット」が好調だ。価格は日本円で約5億4,000万円。すでに100機を超える受注があり、昨年末から引き渡しが始まっている。購入者は「天使のように上昇していくね」と感動をあらわにした。
ホンダジェットは北米、欧州、ブラジルを主要市場とし、主な用途はビジネスである。ライバルは米セスナ、ブラジルのエンブラエルだ。米国は国土が広いのもあり、企業経営者や第一線のスタッフが小型ジェットで各地を回ることが珍しくない。飛行機のスケジュールに合わせるのではなく、自分のスケジュールに飛行機を合わせられる点、移動中に機密性の高い会議が可能、直行便で乗り換えが必要ないなどのメリットがある。
日本にはまだ未投入だが、東京都から仙台市まで30分弱で移動でき、ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長は「適正な価格などの条件を満たせば」と投入に意欲的な姿勢だ。
米国で製造されているホンダジェットは最大7人乗りだ。特徴は低燃費と、競合する他社より2割ほど広い快適な客室で、静かでスピーディーな加速も購入者から高い評価を得ている。
従来のほとんどのビジネスジェットは、エンジンを胴体後部に搭載しているが、ホンダジェットは主翼上面に配置されている。これによって胴体後部のエンジン支持構造が不要になり、広い客室と大きな荷物室が実現。さらに、主翼上面配置が高速飛行時に発生する空気抵抗(衝撃波)を抑える効果を生み、同クラスの他機を凌ぐ速度アップと低燃費を可能にした。
他にも、同社独自開発の自然層流翼と自然層流ノーズ、新たなつくりの複合材製胴体、軽量・コンパクト・高性能ターボエンジンHF120など、注目のポイントが盛り沢山だ。
ビジネス用途の小型ジェット機は年270機ほど売れているという。今後は年300~400機の市場になる見込みだ。ホンダジェットは米国工場で年50機を製造、発注状況をみながら2018年には年100機程度まで生産の拡大を検討していきたいとしている。(編集担当:久保田雄城)