航空業界の台風の目・中東の「スーパーコネクター」

2015年05月11日 08:41

 「スーパーコネクター」と呼ばれる中東の航空会社の存在感が急速に高まっている。エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空、ターキッシュ・エアラインズの4社だ。英国の調査会社スカイトラックスが発表した「エアライン・オブ・ザ・イヤー2014」で、この4社は、すべてベスト10にランクインした。

 それぞれ本拠地は、エミレーツ航空がドバイ国際空港 (アラブ首長国連邦)、カタール航空がドーハ国際空港 (カタール)、エティハド航空がアブダビ国際空港 (アラブ首長国連邦)ターキッシュ・エアラインズがアタチュルク空港(トルコ)に置いている。

 ドバイ国際空港は、14年にロンドンのヒースロー空港を抜き、国際線の旅客数で世界第1位となった。4社のハブ空港の乗降客数は、08年には5000万人に留まっていたが、14年には1億1500万人に増加した。

 エミレーツ航空とカタール航空が就航する欧州都市は、いまや32都市に増えている。さらに各社とも、路線、便数を急速に拡大している。エミレーツ航空は9月に、ドバイ─オーランド線を開設する。カタール航空は4月、ヨーロッパと中東の10都市とドーハを結ぶ路線で増便を行うと発表した。エティハド航空は8月から、メルボルン─アブダビ路線を増便する。ターキッシュ・エアラインズは、4月にイスタンブール─サンフランシスコ線を開設した。

 「スーパーコネクター」の強みは地の利だ。ペルシャ湾岸は、欧州、アジア、アフリカ、アメリカのすべての大陸から、長距離ジェット機の航続距離内に位置する。

 しかも、「スーパーコネクター」は、経済効率の高い最新のジェット機の導入や機内サービスの拡充に積極的に取り組んでいる。

 「スーパーコネクター」の台頭によって苦戦を強いられているのが、欧米の航空会社だ。ルフトハンザ航空によると、欧州─アジア便においてフランクフルトのハブ空港が占めるシェアは、05年以降、3分の1近く減った。一方、「スーパーコネクター」に政府資金が投入されていることに、米国の航空会社は「不公平な競争」と反発しているが、「スーパーコネクター」の勢いはますます強まりそうだ。(編集担当:久保田雄城)