「スマホ子守」が及ぼす乳幼児への影響が危惧されている。子どもを静かにさせるために、タブレット端末を含むスマートフォンの画面を見せたり、触らせる親が増えているというのだ。
昨年9月から11月、福岡市、北九州市などの福岡県内4市の4か月児、1歳半児、3歳児の各検診に訪れた保護者を対象に調査を実施。5,117人が回答した。子どもとの関係でスマホを使う目的(複数回答・3歳児の保護者)は「静かにさせる」の割合が最も高く、31%という結果に。次いで、テレビ電話などの「コミュニケーション」が17%、「教育・知育」が16%。3歳児が自分でスマホを触る頻度は「週2回以上」が最多の23%だった。
4か月児では「泣きやませる」が8%、1歳時半では「あやす」が18%。さらに、スマホを使いたがったり、取り上げると嫌がる1歳児半が2割以上いることがわかった。
スマホは便利な道具であり、よくできた玩具でもある。絵本、塗り絵、パズル、数や言葉遊び、学習型アプリなど、無料の子ども向けアプリが驚くほど溢れ、飽きることなく楽しめるのだ。生後8か月ほどの乳児でも、すぐに指を使って画面を動かすことを覚えるという。
スマホやタブレットばかり見ていると、近視や言語発達の遅れ、親子との会話が減る、親と目を合わせなくなるなどの弊害が危惧される。子どもとの関わり方を変えないと、親の言うことを聞かない子どもに成長する恐れも。
だが、少子化などを背景に「子どもに不寛容な風潮」が強まっているのも事実で、「子どもが騒ぐと肩身が狭い」とスマホに頼らざるを得ない状況を社会全体が作ってしまっているとも考えられる。
かといって、「スマホを与えると静かになるからいい」と、子どもを「スマホ漬け」にするのは考え物である。路上やスーパーでスマホに夢中になって子どもから目を離す親、飲食店や電車でずっとスマホを触っている子ども??スマホやテレビを含む「メディア機器」との付き合い方を見直さねばならない時が来たのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)