欠席減少の鍵は「眠育」子どものスマホ依存が深刻化

2016年01月24日 12:26

画・欠席減少の鍵は「眠育」子どものスマホ依存が深刻化

堺市立三原台中学校は専門家の協力のもと「睡眠教育」を実施。午前0時までの睡眠を推奨すると同時に、就寝前のスマホとテレビを禁止した。約半年後、年間20日以上欠席していた28人のうち12人の欠席日数が減少。

 子どものスマホ依存が深刻な問題となっている。学業にまで影響し、欠席が多い生徒の中には、スマートフォンの操作などで午前3~4時台まで起きている子どもも珍しくないという。

 睡眠不足が慢性化すると、脳が疲労により機能が低下し、血圧や体温を正常にコントロールできなくなり、体のリズムが乱れる。その結果、頭痛や複数などの症状が出て、欠席しがちになってしまうのだ。

 LINEのやり取りがやめられない、電車でもベッドでもゲームをしている…そんな子どもの姿を見兼ねて、親がスマホを取り上げると、人が変わったように暴れる等の禁断症状が現れるケースもある。

 総務省発表の「平成26年通信利用動向調査の結果」によると、インターネットの利用状況は6?12歳が71.6%、13?19歳は97.8%。そのうち、スマートフォンの利用が71.3%(13~19歳)と、前年から7.2%上昇した。ソーシャルメディアの利用状況も57.2%から63.7%に増えている。利用目的は85.4%が「従来からの知人とのコミュニケーションのため」と回答した。

 堺市立三原台中学校は、生徒に早寝を促す「睡眠教育」(眠育)の実施にあたり、スマホ依存の問題に直面したという。全校生徒を調査した結果、午前0時までに就寝する生徒が多い中、年間30日以上休む31人中25人は午前0時以降に就寝していることがわかった。理由の多くはスマホだ。

 眠育を提唱する三池輝久・熊本大名誉教授(小児神経学)の協力のもと、全校生徒に「睡眠を考える本」を配布した。中学生は1日8?9時間の睡眠が必要とし、午前0時までの睡眠を推奨すると同時に、就寝前のスマホとテレビを禁止した。脳に刺激を与え、眠りが浅くなるからだ。睡眠時間を記録させ、深夜のスマホがやめられない生徒には親と一緒に寝てもらう等の指導も行ったという。

 その結果、4月にスタートした眠育は少しずつ成果が現れ、11月には年間20日以上欠席していた28人のうち12人の欠席日数が減った。7月に10日間欠席していた生徒のケースでは、午前3時台から約3時間就寝時間が早くなり、欠席がなくなったというから驚きだ。

 学校側の指導と併せて、家庭環境を整えていきたいところだ。(編集担当:久保田雄城)