仕事中に突然眠気が襲ってくることがある。カフェインを摂ったり、ガムを噛むなどすると眠気が無くなることがあるが、この眠気は「完全に消滅した」のだろうか。または、一時的に感じなくなっているだけだろうか。
眠気には、3つの周期が関係しているとされている。1960年に米国の医師フランツ・ハルバーグ氏が、マウスの白血球数が1日単位で周期的に増減することに気づき、そこから人体にも一定のリズムがあると発見した。このリズムを「サーカディアン・リズム(概日リズム)」という。夜になると眠くなり、昼になると眠気が冷めるという1日の眠りの周期に関係していて、サーカディアン・リズムがずれると夜型になる。
2つ目に、同じ夜でも眠気が強まったり、弱まったりする現象は「ウルトラディアン・リズム(超日リズム)」によるものである。睡眠の覚醒の1セットが約90分の短い周期で繰り返されているのだ。子どもへの影響が大きく、子どもが元気に遊んでいる最中であっても急に眠たくなってしまうのは、同リズムが関係しているとされている。
そして3つ目の「サーカセメディアン・リズム(概半日リズム)」は、授業中や仕事中に眠たくなる現象に深く関わっている。昼夜の各12時間に活動期と休息期の1セットが繰り返され、休息期がちょうど昼過ぎにあたるからだ。
つまり、これらのリズムが周期的にやってくるため、カフェインやガムなどによって一時的に軽減されているだけなのである。睡眠時間に関係なく起こる眠気を解消する方法だが、仕事に支障が出るほどの眠気には15分程度の軽い昼寝が効果的だ。30分以上眠ってしまうと、起きてからしばらく頭がボーッとしたり、夜の睡眠に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、夜しっかり寝ているのに日中に異常に眠たくなるのは、無呼吸症候群(SAS)などで眠りの質が落ちている可能性があるため、注意が必要だ。SASは治療が必要な重症者に限定しても、国内で300万人以上と推測されている。眠気が酷く、日中の活動に支障をきたすようであれば、専門医に相談したほうが良いだろう。(編集担当:久保田雄城)