ゲームはやっぱり知能発達に悪い 東北大研究グループ

2016年01月09日 20:52

 長時間のビデオゲームが子供の広汎な脳領域の発達や言語性知能に悪影響を与えている――。

 東北大学の加齢医学研究所・認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門の研究グループは、子供のビデオゲームプレイ習慣と数年後の言語知能や脳の特徴との関係を解析し、長時間のゲームプレイが脳の前頭前皮質、海馬など高次認知機能や記憶、意欲に関わる領域の発達、さらに言語性知能に対して悪影響を与えていることを明らかにした。研究グループでは、「発達期の子供の長時間のビデオゲームプレイには一層の注意が必要」と注意を呼び掛けている。

 ビデオゲームプレイは視空間能力に対する好影響などが知られている一方で、特定の言語記憶、注意、睡眠、学業、知識などに対する悪影響も指摘されている。またゲームを行う時は、快感や意欲に関わる神経伝達物質のドーパミンの放出が起こり、ビデオゲームは中毒につながることも知られている。

 今回の研究は、脳の微小な形態学的特徴がわかるMRI(磁気共鳴画像)での解析、数年の期間をおいた縦断解析、大規模集団といった手法が特徴で、ゲームプレイの言語機能や広汎な神経メカニズムへの悪影響を新たに明らかにしたことが認められ米国精神医学雑誌 Molecular Psychiatry の1月5日電子版に掲載された。

 研究は、健康な5歳から18歳を対象とし、240人分のビデオゲームの習慣や知能、MRI画像を集めた。3年後に再び知能検査とMRI 画像のデータを取って、平日に被験者がゲームを行う平均時間と言語性知能、動作性知能、総知能などを調べた。

 解析の結果、初回参加時における長時間のゲームプレイ習慣は低い言語性知能と関連し、2回目には一層の言語性知能低下につながっていた。また、動作性知能、総知能のいずれも影響を受けていた。

 影響を受ける領域には海馬(記憶や睡眠)、外側前頭前皮質(実行機能、作動記憶)、代表的なドーパミン作動系領域である尾状核、眼窩皮質の他前島(いずれも報酬、 意欲)が含まれ、対応する機能への影響が示唆された。

 研究に携わった竹内光准教授は今後の研究の展開について「ビデオゲーム以外のさまざまな生活習慣・環境因子の影響について調べていきたい」と話している。(編集担当:城西泰)