旭硝子が、超薄板ガラスを製造工程で搬送するためのキャリアガラスへ貼り合せる積層技術の開発に成功したと発表。この技術により、設備を変更することなく超薄板ガラスを取り扱うことが可能になる。
旭硝子が昨年開発に成功した厚さ0.1ミリの超薄板ガラスは、透明性、耐熱性、電気絶縁性などのガラスの優れた特長に加え、非常に薄く、フレキシブルであることを活かし、次世代のディスプレイや照明、タッチパネルなどへの応用が期待されている。しかし、その実用化に向け、ロールに巻き取った超薄板ガラスを帯状のまま連続的に製造工程で取り扱うロール・トゥ・ロール方式などの開発が進められているものの、既存設備の大幅な変更を伴うことが課題となっていた。
今回開発された技術はこの課題を解決し、超薄板ガラスの実用化を加速するため、厚さ0.5ミリ程度のキャリアガラスに超薄板ガラスを貼り合せるもの。この技術で作られた積層基板は、通常のシート状のガラスと同様に1枚ずつ扱うことができるため(シート・トゥ・シート方式)、設備を変更することなく超薄板ガラスに回路形成などの処理が行えるという。また、キャリアガラスと超薄板ガラスは特別な吸着層で貼り合わされており、製造工程における加熱や化学処理に対する耐久性がある一方、工程で処理された後にキャリアガラスを容易に剥離することが可能。さらに、キャリアガラス上の超薄板ガラスは、工程設備に直接触れないため、傷の発生を抑える効果も期待できるという。
シャープとソニーが大型液晶パネルと液晶モジュール製造・販売事業の合弁を解消するなど、日本のディスプレイ業界を巡る動きが活発化している。低迷の続く日本企業の巻き返しが始まったということであろうか。今度の動向に注視したい。