企業の4割が正社員が不足と感じる 高まる人手不足感

2016年02月26日 08:44

 アベノミクスにおける成長戦略を進めるなかで、人手不足が大きな懸念材料となっている。また、マイナンバーへの対応に追われる情報サービスや、訪日旅行客や国内旅行の増加による飲食店、娯楽サービスで人手不足が急激に深刻化するなど、人手不足における業種の違いが顕著に表れている。有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場がひっ迫するなかでは、求職者にとっては明るい材料となる一方、企業は人件費上昇などのコストアップにつながり、今後の経済活動における足かせともなりかねない。そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。

 まず、現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると回答した企業は39.5%で、企業の約4割が正社員の不足を感じていた。一方、現在の正社員数が「適正」と判断している企業は48.1%、「過剰」と判断している企業は12.4%となり、人手不足感は高まっている。

 「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「放送」が66.7%で最も高く、前回調査に続いてトップとなった。以下、「情報サービス」(66.5%)、「医薬品・日用雑貨品小売」(64.0%)が6割台だったほか、「旅館・ホテル」(57.6%)や「自動車・同部品小売」(54.2%)などは、「国内・海外の旅行者、ビジネス客が好調」(旅館・ホテル、愛知県)や「新商品の発売効果に加え、消費税増税前の駆け込み需要を見込む」といった声もあったという。

 また、従業員の不足状況を従業員数別にみると、従業員数が「1000 人超」の企業では45.2%が不足している一方、「5 人以下」の企業では30.3%となっており、14.9ポイントの差があった。正社員は、従業員数が多くなるにつれて人手不足の企業割合が多くなるという傾向がみられるとしている。
 
 また、非正社員が「不足」していると回答した企業は26.2%となり、前回調査に比べ1.7ポイント増加した。また、「適正」と考えている企業は64.6%で3 社に2社にのぼった。他方、「過剰」と回答した企業は前回調査より0.8ポイント減少し9.2%となった。

 非正社員について、最も人手が不足していると感じている業種は「飲食店」(85.7%)が最高となり、2 位の「飲食料品小売」(65.8%)を 19.9 ポイント上回り、突出した人手不足となっている。以下、「旅館・ホテル」(59.4%)、「家具類小売」(57.1%)、「メンテナンス・警備・検査」(53.5%)が続いた。人手不足を感じる企業が半数以上となる業種は51業種中9業種で、人手が不足している業種は広がりをみせている。

 従業員数別にみると、従業員数が300人以下の企業では、不足の割合が概ね 25%程度となっている一方、300人を超えると3社に1社が不足と感じている。非正社員においても、大手企業ほど不足していると捉えている様子がうかがえるとしている。(編集担当:慶尾六郎)