2025年の次世代環境自動車向け大型二次電池の世界市場は6兆3,649億円に

2016年02月29日 08:26

 富士経済は、日本、アメリカ、欧州、中国を中心に投入計画が活発化している次世代環境自動車と、それらに搭載されるリチウムイオン電池(LiB)、ニッケル水素電池(NiMH)、電気二重層キャパシタ(EDLC)などの大型二次電池の市場を調査した。その結果を報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2016 次世代環境自動車分野編」にまとめた。

 それによると、今後、世界各国で自動車の燃費や排出ガス規制が強化される方向にあるが、特に中国では深刻化する大気汚染への対策や新たな産業創出のためにEVやPHVの普及拡大を国家政策として進めているという。2015年は大容量の電池を搭載するEV乗用車、EVトラック・バスの導入が飛躍的に拡大したため、中国が次世代環境自動車向け大型二次電池の最大需要国へ成長するとみられる。それに伴い、日米欧の自動車メーカー、また日韓電池メーカーは積極的に中国現地の生産拠点構築へ向けて投資を進めており、今後の動向が注目されるとしている。

 2015年の市場は2014年比74.9%増の1兆943億円と見込んでいる。EV向けの割合が大きい。中でもEVトラック・バス向けが中国の需要増加により大きく伸びた。また、マイクロEV向けは市場規模は小さいが中国を中心に伸びている。現状HV・PHV向けは日本の需要が多くを占めるが、今後はPHV向けを中心に北米や欧州で需要が増加するとみている。

 電池種類別にみると、EVやPHVで搭載されるLiBの割合が圧倒的に大きい。NiMHは現状HVで搭載が多いが、LiBを搭載するHVが増加するため2025年にはNiMHの需要は減少するとみている。PbはISSV/マイクロHV向けが大きく伸びるとみられ、小規模ながらマイクロEV向けの需要も期待される。EDLCは中国のEVトラック・バスなどで採用されている。

 地域別需要動向については、現状では中国やアメリカの占める割合が高いという。特に中国は2015年にEV乗用車やEVトラック・バスの生産が急拡大したため、LiBを中心に需要が大幅に増加している。アメリカは大容量電池パックを搭載するTesla MotorsのEV向けなどLiBが中心であるという。

 今後は欧州・アメリカ・中国の需要が大きく増加すると予想している。欧州やアメリカはEVやPHV向けのLiBが大幅に伸び、特にアメリカではEV向けのLiB市場は2025年に1兆円を超えるとみている。中国もEVやPHV向けを中心に伸びるが、特にEVトラック・バス向けが他地域に比べて大きく増加するとという。日本は現状HV向けのNiMHやLiBが中心であるが、将来的にはPHV向けのLiBが大幅に増えると予想。また、FCVの普及は日本が先行するが、低価格のNiMHの搭載が中心とみている。(編集担当:慶尾六郎)