2014年4月にとうとう消費税が上がる。段階的とはいえ、当面8%に。次いで翌年には10%に上がるというシナリオを描いているようだ。そこで騒がしいのが、自動車関連の税金の話である。なかでも、2014年度税制改正の焦点となっていた自動車取得(しゅとく)税の見直しについて、政府が1月に発表した「税制改正大綱」に盛り込んだ。それによると、消費税率が8%に上がる2014年4月段階で地方税の自動車取得税を軽減し、消費税が10%に上げた時点で廃止するとしている。
自動車にかかる税金は非常に複雑で多岐にわたる。なかで、ここで問題とされる「自動車取得税」は、1968年に地方の道路整備財源として設定された目的税(地方税)だった。自動車の購入時にその価格に対して課税される税金だ。しかし、その後の1989年の消費税導入に際して、個別間接税である物品税・入場税などは廃止された。が、同様に廃止されるべきだった「自動車取得税」だけは存続となり、取得税と消費税という2重課税の状態が現在まで続いている。さらに、道路目的税だった自動車取得税は一般財源化され、自動車ユーザーに道路整備で還元するという目的まで失っている。
その2重課税状態が消費増税を機に解消されるのなら自動車ユーザー・業界ともにもろ手を挙げて歓迎なのだが、コトは簡単ではない。自動車取得税は地方に入る税金だ。自動車の販売低迷、グリーン税制の一環で施行されたエコカー減税などにより右肩下がりの減少傾向にあるとはいえ、現在でも年間約1900億円の税収がある。ところが消費増税で、黙っても入ってきた1900億円の税金が地方に回らなくなる。全国知事会など地方団体からは「具体的な代替財源を示さない見直しは認められない」と強く反発していた経緯がある。
そこで浮上してきたのが「軽自動車税」の値上げだ。軽自動車に係る税金は登録車に比べると極端に低い。年間7200円という税額は1000cc未満のコンパクトカーの自動車税(2万9500円)の4分の1以下。この軽自動車税を単純に倍に上げれば、取得税廃止で失う1900億円が手に入る、というのが政府の狙いである。
登録車に比べて非常に安い軽自動車の税金(保有税)は、米国などから「不公平」だと指摘され、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉でも俎上に上げられている問題だ。とかく外圧に弱い日本政府、これを理由に2年後に軽自動車税が上がるのか?
自動車に纏わる税金の問題はこれだけでは無い。縦割り行政の間隙を突いて総務省などが「環境自動車税」構想などをぶち上げている。また、自動車税そのものと重量税、ガソリン税+消費税など問題山積なのである。(編集担当:吉田恒)