アイヌの人たち「差別・偏見を感じる」7割超

2016年03月01日 08:46

 内閣府の行った「国民のアイヌに対する理解度に関する意識調査」で『アイヌの人々に対する差別や偏見が現在あると思うか』の認識に、全国国民とアイヌの人たちの間に大きな差のあることが浮き彫りになった。

 内閣府が29日発表した調査結果によると、国民全体を対象にした回答では、差別や偏見はないと思うと答えた人が50.7%だったのに対し、アイヌの人の回答は19.1%で、逆に、あると思うとの回答が72.1%にも上った。

 また、差別や偏見があると思うと回答したアイヌの人たちの51.4%はその理由について「家族・親族・友人・知人が差別を受けている」と答え、51.2%が「アイヌが差別を受けているという具体的な話を聞いたことがある」と回答した。

 自身が差別を受けていると答えたアイヌの人の回答(186人)では「結婚や交際のことで相手の親族にアイヌであることを理由に反対された」(57.5%)「職場でアイヌであることを理由に不愉快な思いをさせられた」(53.8%)などがあった。

 一方、全国の人を対象にした回答の内、差別や偏見があると思うと答えた人(17.9%)にその理由を選択してもらった結果「報道などを通じてアイヌの人々が差別を受けているという話を聞いたことがある」(47.2%)や「漠然と差別や偏見があるイメージがある」(39.8%)など間接的情報やイメージによるところが多かった。

 差別や偏見の原因について、全国の人たちを対象にした調査では「アイヌの歴史に関する理解の不十分さ」(65%)「アイヌ文化に対する理解の不十分さ」(64.1%)「行政や学校教育でのアイヌの人々の理解を深める取り組みが不十分」(42.1%)が多かった。アイヌの人たちのアンケート結果でも同様の傾向となり、歴史や文化への理解を深める取り組みの重要性が浮かんできた。

 調査は全国の人たちを対象に行った調査は今年1月、個別面接で20歳以上の日本国籍者1727人から有効回答を得ている。アイヌの人たちを対象に行った調査は昨年10月から11月に調査票の郵送による回収で705人から有効回答を得ていた。(編集担当:森高龍二)