音楽を聞きながらのジョギングにお墨付き

2016年03月01日 12:29

 音楽を聞きながら運動すると、運動後の自律神経活動に良い効果をもたらすことを東北大学の小川佳子助教らの研究グループが明らかにした。運動療法に音楽療法を組み合わせることで、様々な疾病に対する新しいリハビリテーションプログラムが確立されることにつながることが期待されるという。

 研究チームによると、運動を行うと交感神経活動が増加し、副交感神経活動が低下する。運動を終了すると、運動中に低下していた副交感神経活動が急激に回復するが、この運動後の副交感神経活動の回復反応は心臓へのストレス回避のための反応であり、 回復反応の遅れは運動後の致死性の不整脈の発生や心臓突然死と関連するという。研究チームでは、運動や運動療法を安全に行う上で、運動後の副交感神経活動の回復を高めて心臓へのストレスをいかに減らすかということを重要な課題と捉え、今回の実験を行った。

 音楽は自律神経活動を調整する効果を持つと言われていて、 特に気分を落ち着かせる音楽は副交感神経活動を高めることが明らかになっているという。そこで、気分を落ち着かせる音楽を聴きながら運動を行えば、運動後の副交感神経活動を高めることができると推測した。

 実験では、若年健常者に対して(1)何もしないで座っている(安静)、(2)被験者自身が選んだ気分を落ち着かせる音楽を聴きながら座っている(音楽)、(3)「ややきつい」と感じるくらいの自転車こぎ運動を行う(運動)、(4)音楽を聴きながら自転車こぎ運動を行う(併用)という4つのセッションをそれぞれ別の日に15分間行い、前後の自律神経活動を、心拍変動解析ソフトを用いて測定し比較した。

 その結果、音楽セッションでは、セッション終了後の副交感神経活動が有意に増加し、運動セッションではセッション終了後の副交感神経活動が有意に低下していたが、音楽を聴きながら運動した併用セッションでは、終了後の副交感神経活動は運動前の値とほぼ同じだった。

 研究チームは「音楽が運動後の副交感神経活動に良い効果をもたらすことを科学的 に明らかにした初めての報告となる。より積極的な運動や運動療法の実施につながると思われる。音楽と運動の併用療法を長期的に繰り返すことにより、それぞれの単独療法よりもより大きな効果が得られる可能性も考えられる」とコメントしている。

 イヤホンを付けながらのジョギングにも科学的根拠が与えられたということか。(編集担当:城西泰)