住友ファーマ決算、北米薬伸長で大幅増益 再成長へ研究開発集中

2026年05月14日 12:25

今回のニュースのポイント

住友ファーマの2026年3月期決算は、売上収益4,533億円、親会社所有者帰属利益は前期比352.2%増の1,069億円となりました。北米で「オルゴビクス」「ジェムテサ」など主力品の売上が伸長したほか、費用削減やアジア事業の譲渡益が利益を押し上げました。次期は新薬開発の加速で減益を見込みますが、iPS細胞由来製品の国内承認など再成長への基盤を整えています。

本文
 住友ファーマが公表した2026年3月期連結決算(IFRS)は、売上収益が4,533億円(前期比13.7%増)、営業利益が1,073億円(同272.6%増)、親会社所有者帰属利益は1,069億円(同352.2%増)となりました。北米事業の飛躍的な成長と、再生・細胞医薬事業の再編を含む全社的なコストマネジメントが奏功し、V字回復を鮮明にしました。

 セグメント別の状況では、北米が売上収益3,379億円(前期比34.2%増)、コアセグメント利益757億円(同77.8%増)と、収益の柱としての位置づけが一段と鮮明になっています。進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の販売が拡大し、グループ全体の成長を牽引しました。一方、日本は売上収益924億円(同7.5%減)と、糖尿病治療剤の提携終了が響きましたが、事業構造改善効果によりセグメント利益は124億円(同8.2%増)と増益を守りました。

 研究開発においては、掲げる「価値創造サイクル」の再構築のもと、次の成長エンジンと位置づけるがん2品目「enzomenib」「nuvisertib」に開発投資を重点配分しています。2026年3月には、世界初となる他家iPS細胞由来のパーキンソン病治療製品「アムシェプリ」が国内で承認を取得しており、中長期の成長の芽も着実に育てています。

 財務面では、2026年4月の公募増資などで約978億円を調達し、がんや神経変性疾患、再生医療の開発投資と有利子負債返済に充てることで、財務基盤の立て直しを図っています。なお、成長戦略「Boost 2028」を優先する方針から、期末配当は前期同様ゼロとし、調達資金を研究開発や設備投資、財務基盤の強化に集中させる方針です。

 2027年3月期の通期予想は、売上収益5,400億円、親会社所有者帰属利益770億円を計画しています。米国での「オルゴビクス」の販売マイルストン計上を見込む一方で、増収に対し、R&D費用の増加やアジア事業譲渡益の剥落が利益を圧迫し、利益水準は足元より下がる計画です。

 製薬各社が「特許の崖」に直面する中、住友ファーマは経営再建から、より攻めの姿勢を強める「Boost 2028」へと舵を切りました。北米主力品で稼いだキャッシュをどこまで開発に振り向け、がんやiPS関連の新薬をタイミング良く市場に送り出せるかが、今後の再成長ストーリーを左右しそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)