今回のニュースのポイント
東洋紡の2026年3月期業績は、売上高が前年度比0.1%減の4,216億円となった一方、営業利益は同67.6%増の279億円と大幅な増益を達成しました。 AIサーバー向け離型フィルムなどの電子材料用フィルムが収益を押し上げたほか、包装用フィルムでも新設備の生産性向上による採算改善がみられました。 ライフサイエンス事業は中国市況や新工場立ち上げの遅れが影響し減益となりました。 次期業績予想については、中東情勢による原材料価格への影響を算定困難として「未定」としています。
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東洋紡が12日に発表した2026年3月期(2025年度)の連結決算は、売上高が4,216億円(前年度比0.1%減)、営業利益は279億円(同67.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は111億円(同457.8%増)で、売上高営業利益率は前年度の3.9%から6.6%まで上昇しており、収益性の改善が鮮明となりました。
増益を牽引したのは、全売上の約4割を占めるフィルム事業です。同セグメントの営業利益は166億円と、前年度の69億円から大幅に伸長しました。工業用フィルムにおいて、AIサーバー向け需要を背景とした積層セラミックコンデンサ用の離型フィルムが販売を伸ばしたほか、液晶偏光子保護フィルムも強い需要が続きました。包装用フィルムについては、食品価格高騰に伴う消費者の節約志向により出荷自体は伸び悩みましたが、新設備の生産性改善を進めたことで収益は向上しました。
環境・機能材事業は、売上高1,101億円(前年度比0.6%減)、営業利益97億円(同21.9%増)となりました。自動車向けのエンジニアリングプラスチックや、電子材料向けの工業用接着剤が寄与しました。機能繊維・商事事業は、アジアでの自動車減産影響を受けたものの、円安を背景とした中東向け生地の好調やコストダウンにより、営業利益は13億円(同132.4%増)と改善しています。
一方、ライフサイエンス事業は営業利益1億円(同96.8%減)に留まりました。診断薬用原料酵素の需要は堅調でしたが、中国市況の影響で診断薬用試薬が低調に推移したほか、メディカル事業での人工腎臓用中空糸膜の新工場の立ち上げ遅れが響きました。
財務面では、棚卸資産の増加などにより総資産が6,277億円へ増加しました。借入金の減少によって負債が圧縮された結果、自己資本比率は34.0%(前年度末31.6%)に上昇し、D/Eレシオは1.22倍(同1.37倍)へと改善しています。
2027年3月期の通期業績予想について、同社は現時点で合理的な算定が困難であるとして「未定」と公表しました。中東地域における情勢不安の長期化により、石油・ナフサ由来の原材料供給の停滞や価格高騰の影響が懸念されるためとしています。年間配当は前期と同額の40円(期末40円)を維持し、次期の予想については業績予想が可能になった段階で速やかに開示する方針です。
今回の決算結果は、物価高による消費動向の変化が汎用資材の出荷に影響を及ぼす一方で、AIや電子部品に関連した高付加価値材料の利益貢献が拡大していることを示す内容となりました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













