食事における「食べる順番」で食後の血糖値上昇が抑えられることを、関西電力医学研究所の研究グループが解明した。いわゆる白いご飯を食べる前に、魚料理や肉料理を摂ると胃運動がゆるやかになり食後の血糖上昇が是正されることが、健常者と2型糖尿病患者を対象にした研究で明らかになった。さらに、「食べる順番」が、糖尿病の予防や治療で注目されている消化ホルモンのインクレチン(GLP-1、GIP)の分泌を促進することも発見した。この研究は欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」オンライン版に12月24日付けで掲載された。
糖尿病の進展には食後高血糖が大きくかかわっており、その血糖値を抑える手法として注目されているのが「食べる順番」だ。研究グループは、ご飯という炭水化物の前に蛋白質や脂質を摂取すると、インスリン分泌の促進や血糖上昇抑制に働く、インクレチンの分泌が亢進する点に着目した。
研究対象は、30~75歳の2型糖尿病患者12人と健康な人10人。対象者には、(1)魚料理(サバの水煮)の前にご飯を食べる、(2)ご飯の前に魚料理を食べる、(3)ご飯の前に肉料理(牛肉の網焼き)を食べる――という順番で3日間朝食を食べてもらい、食前および食後4時間の血糖、インスリン、インクレチンなどの値を調べた。
この結果、2型糖尿病患者、健康人ともに、ご飯の前に魚や肉料理を摂取すると、ご飯を先に食べた場合に比べて食後4時間の血糖値の上昇が抑えられることがわかった。また、魚や肉料理をご飯より先に摂取するとGLP-1分泌が亢進され、胃の働きが緩やかになり、胃で分解されたご飯が小腸に移動して吸収されるまでの時間が2倍以上延長することも明らかにされた。ただし、肉料理の長期的な摂取による肥満リスクの上昇懸念も指摘している。
同グループでは、食事においてはエネルギー摂取量やバランスを考えるだけではなく、最初に野菜、次に魚や肉料理、最後にご飯や果物を食べるという順番付けも重要だとしている。今後、食べる順番の効果をさらに追究し、長期的な効果を解明するという。研究グループでは「『食べる順番』の科学的根拠が示されたことで、糖尿病の予防や治療における食事療法の進展に期待が集まる」と話している。(編集担当:城西泰)