2233万8618桁の「素数」発見される 何のために?

2016年03月02日 08:52

画・2233万8618桁の「素数」発見される 何のために?

ある整数を割り切れることができる整数を「約数」という。そして約数が1とその数しかない整数が「素数」だ。 2、3、5、7、11、13、17…と続く

 先日、過去最大の「素数」が更新された。発見したのは米国セントラルミズーリ大学(UCM)の数学者、カーティス・クーパー氏。コンシューマー向けの標準的なCPU「Intel Haswell Core i7-4790」を搭載したパソコンに、GIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)が配布する無償のソフトウェア「Prime95」を実行させて、31日間で計算された。

 実は昨年9月に更新されていたが、パソコンからサーバーへの報告がうまくいかず認識が遅れたらしい。3で始まり1で終わる数で、なんと2233万8618桁。過去最大だった48番目よりも約500万桁大きい。

 素数とは、1とその数以外で割り切れない数のことで、「数の原子」と例えられている。数学の世界だけでなく、日常生活でも暗号化技術などに使われている。たとえば、解読が困難な暗号の作成につながることから、ショッピングサイトなどで電子マネーのセキュリティをかけるために使われている。

 現在、インターネットで広く使われている暗号方式「公開鍵暗号方式」は、暗号化されていない文を暗号化するために必要な「公開鍵」と、暗号文を元の文に復号するために必要な鍵である「秘密鍵」からなっている。この「秘密鍵」が、2つの素数によって作られ、公開鍵はその2つの素数の積なのだ。

 つまり、公開鍵の数字を素因数分解すると2つの素数の組み合わせ(=秘密鍵)を算出でき、暗号文を復号することができてしまうのだ。

 これを防ぐために用いられるのが、素因数分解が困難な大きな素数だ。基本的に素数が大きければ大きいほど、それらの積を素因数分解することは困難となる。より大きな素数の存在は、より強力な秘密鍵を作ることにつながるというわけだ。

 素数は無限に存在するとされているが、出現の規則性は現在も分かっていない。UCMには、賞金としてGIMPSから3000ドル(約36万円)が支給される。1億桁以上の素数の発見者には、賞金5万ドル(約600万円)が贈られるそうだ。(編集担当:久保田雄城)