厚生労働省のまとめによると、容易に医療機関にかかれない「無医地区」は2014年10月末現在で全国に637カ所あったことがわかった。前回調査(2009年)の705カ所と比べて68カ所減り、過去最少を更新した。また「無歯科医地区」は858カ所で、同じく過去最少を更新した。
厚労省によると、無医地区・無歯科医地区とは、地区の中心を起点として半径約4㎞の区域内に50人以上が住んでいながら、容易に医療機関を利用することができない地区をいう。
無医地区が多い都道府県は、北海道89カ所、広島54カ所、高知と大分が38カ所、愛知と岡山が23カ所などだった。前回比マイナス12の北海道をはじめ、多くの都道府県で無医地区は減少したが、一方で増加しているところもあり、和歌山(5増)、栃木(4増)、岩手(2増)、宮城(2増)など9県では無医地区が増えた。無医地区に住む人は全国で12万4,122人。無医地区がなかったのは、首都近県と今回調査でゼロとなった山形、長崎など8都府県だった。
調査は5年に1回行われており、1978年には今回調査の3倍近くに当たる1,750カ所の無医地域があり、そこに住んでいたのは約4倍の50万人強だった。減少の背景には交通網が整備・発達したことや医療機関による巡回診療が行われていることがあるが、医療過疎の問題は深刻だ。
安倍政権が導入を掲げる地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されている。この単位内で、医療・介護・生活支援を受けられるようにしようというのだが、果たしてどれだけの“単位”で可能なのか。過疎地域を見つめた施策に期待したい。(編集担当:城西泰)