2018年のジェネリック医薬品国内市場は14年比9.1%増の9兆3,044億円に けん引するのは高血圧症治療剤

2016年03月04日 09:07

 政府は増加する医療費の抑制策としてジェネリック医薬品の使用を推進している。2013年4月に「後発医薬品の更なる使用促進のためのロードマップ」を策定し、2017年度までに数量シェアを60%以上とする新たな目標を発表した。また、2015年6月の閣議決定において、2017年に数量シェア70%以上とすると共に、2020年度末までに80%を達成するといった新たな目標が設定された。一般名処方のほか、2014年4月の診療報酬改定において後発医薬品調剤体制加算の算定要件がより厳密化されており、経口剤を中心に切り替えが進んでいる。またDPC(包括医療費支払い)制度においても後発医薬品指数が導入されており、ジェネリック医薬品への切り替えが進んでいる。

 今回、富士経済は、国内のジェネリック医薬品(診療報酬点数表の後発医薬品に属するもの)と、長期収載医薬品の市場を薬効領域毎に分けて調査した。その結果を報告書「2015-2016 ジェネリック医薬品・長期収載品データブック No.2 薬効領域別市場編」にまとめた。

 それによると、政府が打ち出した使用促進策により、ジェネリック医薬品市場は今後も堅調に拡大していき、2018年の国内市場は2014年比9.1%増の9兆3,044億円が予測されるという。市場拡大をけん引するのは高血圧症治療剤で、2018年までに特に高い伸長がみられる薬効領域はCSFと喘息・COPD治療剤で2014年比3.0倍を超える。その他、免疫抑制剤、認知症治療剤も活況を呈し、2014年比2.0倍を超える伸長になるとみられる。ジェネリック医薬品の置換え率も金額ベースで35%に達するとみられ、ジェネリック医薬品の浸透は着実に進むとしている。

 高血圧症治療剤は一番市場規模が大きい薬効領域で、2018年はジェネリック医薬品市場の19%を占める2,100億円と予測している。2014年にサンドから「ディオバン」(ノバルティスファーマ)とあすか製薬から「ブロプレス」(武田薬品工業)のオーソライズドジェネリックが発売された。両成分ともオーソライズドジェネリックの優位性を武器に、発売から1年以上たった今も順調に実績を伸ばしている。

 2015年は「ノルバスク」(ファイザー)や「アムロジン」(大日本住友製薬)の成分であるアムロジピンと、「ブロプレス」(武田薬品工業)の成分であるカンデサルタンの配合剤である「ユニシア」(武田薬品工業)のジェネリック医薬品、アムロジピンと「ディオバン」(ノバルティスファーマ)の成分であるバルサルタンの配合剤である「エックスフォージ」(ノバルティスファーマ)のジェネリック医薬品など、大型化が予測されるジェネリック医薬品が続々と発売されており、2014年は金額ベースで28%であったジェネリック医薬品の置換え率は2018年に46%が予想されるとしている。

 また、がん領域はジェネリック医薬品の置換え率が低い成分が多い市場だったが、日本化薬やヤクルト本社、大鵬薬品工業など、新薬でも抗がん剤を扱っている企業がジェネリック医薬品を発売し、DPC対象病院の採用が進み浸透してきているという。同領域は注射剤が中心だったが、経口剤のジェネリック医薬品が発売されたことで調剤薬局で切り替えが促進され、市場の拡大が続いているとしている。(編集担当:慶尾六郎)