大和総研によると、欧州太陽光発電産業協会が発表した2011年の世界の太陽光発電年間導入量は前年比66%増の27.7GWと急拡大し、過去最高を更新。導入量は、多い順にイタリア(9GW)・ドイツ(7.5GW)・中国(2GW)となっており、欧州が導入量の75%を占めたとのこと。日本は6位の1.1GWとなっているが、5月17日に太陽光発電協会が発表したところによると、2012年4月末までの国内における住宅用太陽光発電システムの累計設置件数が、100万件を突破した。
こうした中、日本企業の動向は、太陽光発電装置の商品や技術といった機器自体に関するものから、太陽光発電装置を用いたサービスやシステムといったものへと、その主眼が移行している。中でも、スマートハウスやスマートグリッドなどに関する実証実験は、昨年以降多く行われてきたが、近時、その数はさらに増加している。
5月の第3週だけでも、5月15日には三菱電機が、太陽光発電(PV)と電気自動車(EV)などの容量の大きい蓄電池を連携して制御する「PV・EV連携パワコン」とHEMSとの連携による「PV・EV連携HEMS」を業界で初めて構築、実証実験を開始すると発表。17日には東芝・三井不動産レジデンシャル・JX日鉱日石エネルギーが共同で、既設の集合住宅にリノベーションを施すと同時に、3電池(家庭用燃料電池エネファーム、太陽光発電、蓄電池)などからなる自立・分散型エネルギーシステムを設置した「ENEOS創エネリノベーション」の実証試験を6月から開始すると発表している。また、18日には清水建設、東芝、シャープ、明電舎、東京ガス、三菱重工業、富士電機、古河電気工業、古河電池の9社が、新エネルギー・産業技術総合開発機構から受託した「スマートグリッドの日米共同実証プロジェクト」の一環である「アルバカーキ市における商業地域スマートグリッド実証プロジェクトの実証研究を開始とした発表するなど、立て続けに実証実験がスタートしている。
実証実験の多くは、その期間を2から3年としている。期間を満了し、データ等を検証、その後の実用化、となると、実際に我々がその結果を踏まえた生活を享受することが出来るまでにどれくらいの年月がかかるのか。7月に全量買い取り制度が始まることを受けて、住宅用太陽光発電装置は益々普及するであろう。太陽光発電装置を含む住宅用のエネルギーシステムは、自動車の様なサイクルで変更するものではない。実証実験の活発化が、少し遅かったのではないだろうか。住宅用太陽光発電装置の現在の普及が、実証実験を経て実用化された製品や技術を導入する際に、思わぬ障害とはならないことを期待したい