日本製粉が3日、家庭用小麦粉の価格値上げを発表。10月から輸入小麦の政府売渡価格が引き上げられたことを受けたもので、約1~4%ほどの値上げになるとのこと。今回の価格改定に強力粉は含まれず、来年1月4日出荷分から実施される。
1994年のGATTウルグアイラウンドにおける合意を受け、1995年より関税化され、政府による一元的輸入から、誰でも輸入できる制度へと変更された小麦。しかし、独自で輸入するには高関税のTE(関税相当量)を支払わなければならず、その利用は限定的となっている。そのため、製粉メーカーの使用する輸入小麦の大半が政府からの買い入れであるのが現状である。
政府からの売渡価格は、毎年4月と10月の2回、国際相場の動向などを反映して改定される。そして、今年10月の改定では、主にパンや中華麺に使用されるハード・セミハード系の小麦には変更がなかったものの、日本麺や菓子に利用されるソフト系が前期比8%の値上げとなっていた。これを受けての、今回の家庭用小麦粉の改定となる。
日本製粉のほかにも、日清製粉グループの日進フーズが中力粉・薄力粉を約2~5%、昭和産業が薄力粉を約1~4%、それぞれ値上げすることをすでに発表している。なお、10月の政府売渡価格の改定により日本製粉は、業務用の小麦粉価格を、中力系・薄力系で25kg当たり115円、国産100%小麦粉で同55円値上げすることをすでに発表している。
前回の政府売渡価格改定では平均で15%もの値下げとなり、日本製粉でも家庭用小麦粉の価格を2~5%引き下げていた。今回の値上げは、そこで下げられた分の価格が従前の価格へと引き戻される格好となる。どの製粉メーカーも政府からの仕入れとなるため、調達原価に価格差が生じず、どの企業も上下幅が横並びとなる。そのため各メーカーは、パンやパスタ・麺などの商品にした際の付加価値で競争をすることになるが、他の業界ほどの競争原理が働いておらず、あまり企業の淘汰などは進んでいないようである。一方政府は、一人当たりの年間小麦消費量を現在の31~33kgから、2020年には28kgにまで低下させることを目標としている。この目標に向けて、米粉の普及や、小麦価格の高止まりさせることも考えられるであろう。そうした動きが本格化したとき、真の競争が始まるのかもしれない。