中国政府が2015年からトイレ革命に本格的に乗り出した。17年までに中国全土で5万7000ヶ所にトイレを新設・改築していき、農村部においては水洗トイレの導入を急いでいる。
トイレ美化のために125億元、日本円にして約2250億円が投じられており、政府の並々ならぬ気合が感じられる。その取り組みに対し、着実に各地に成果もあがっている模様だ。
中国のトイレを「ニーハオトイレ」と呼び、汚いや不潔といった印象を持つ日本人は多い。数年前までまさに中国人にとってトイレは団らんの場所だった。排泄をしている最中に「ニーハオ」と話しかけられることが日常だったのだ。仕切りがなく、あるのは便器のみ。仕切りがあってもとても低く、鍵があっても壊れている場所もとても多かった。
トイレ事情が改善されだしたのは、08年のオリンピック開催からだ。海外からの観光客が増えたことで、政府はトイレ改善を始めた。さらに10年の上海万博でその傾向はより強くなった。
しかし、劇的な変化を見せたのは15年からのことである。洗浄水がきちんと出るようになり、オフィスのトイレ掃除を企業で行う傾向も見られるようになった。トイレ掃除を行うことで、取引先との商談がスムーズにまとまるケースも見られ、社会全体が変わり始めている。
こうした意識改革の理由に、中国の経済情勢が安定してきたことがあげられる。高度経済成長期が終わりを迎え、安定成長期と呼ばれるようになってから、人々の生活にはゆとりが生まれた。ゆとりが生まれることで、人々は金よりも生活の質を求めるようになっていったのである。
中国には根強く日本製品の質の良さを賞賛する日本信仰がある。同じ製品を買うなら、中国製より日本製の方がいいという風潮があるのだ。それが爆買いに繋がり、日本経済にも大きな効果を及ぼしている。
中国人観光客が爆買いをする日本製品に、もちろんトイレも含まれている。特にTOT0の製品は人気を極めている。中国のトイレと規格が合わないため、便座自体の工事を行う客も多くいる。(編集担当:久保田雄城)